あぁ、苛々する。
何故こうも上手くいかないのだろう。
「ハヅキ、結果はどうだった?」
後方に立つ彼はきっと楽しそうに微笑んでいるのだろう。
もう何度目か分からない相手の手紙の返事に、溜息をつくしか出来ない。
“年頃の娘”
自分で言うのも何だが、私だってもう結婚しても可笑しくはない年齢。
結婚願望もそこそこあるし、家柄も……悪くはない。
社交のマナーもレッスンもそれなりに熟している。
なのに。
それなのにお見合いの返事は何時も“お断り”。
顔が悪いのか性格に問題があるのか……それさえも、もう分からない。
「その様子だと相変わらずのようだ」
私が無言で肩を震わせたことから察したに違いない、断定の台詞。
クスリと響く声色に苛立ちと悔しさで、今にも殴りかかってしまいそうだ。
だがグッと拳を握り絞めて衝動を堪える。
「貴方には関係のないことだわ、ウェラー卿」