「お上手じゃないですか」
半分嫌味で、半分驚きで伝える。
するとハヅキはステップに負けず劣らずの華麗な笑顔で笑い返して──
「当たり前でしょう?ヨザックに恥をかかせたりはしないわ」
そう、宣わった。
どんな宝石より鮮やかに輝く黒の瞳と、この世に生を受けた誰よりも気高い魂で。
ゾクリと身体が震える。
と同時に、強い嫉妬と欲が身体を駆け巡った。
この美しく気高い姫君をここまで想わせて、更に独占し、寵愛を受ける親友に。
ステップを止めず、ハヅキの瞳を真っ直ぐに見れば、そこには強い意志が宿っていた。
だからか。
ふいに口から出た言葉は、酷く欲に満ちていた。
「貴女が欲しい」
ハヅキ、と無意識に零れた言葉。
気が付けば、彼女を抱きしめていた。
小さく華奢な少女の身体を。
すっぽりと俺の胸元に入ってしまうほどのそれ。
少し力を加えればどうにかなってしまうのではないか、と思わせる。
このまま、流れに身を任せて──
「任せてみても良いわよ?」
「え?」
「けれど、心の憂いは拭えない。ヨザックでなければ」