しかし、それを“構ってもらえる”と勘違いしたのか、巨大な獣は太陽のような瞳を輝かせて、見えない尻尾を振り、自らが振った話題に食いついてきた。
「陛下がそう言ってたの。グリ江はホントかどうか知りたくて」
葉月は心の中で、同じ地球出身の野球馬鹿を呪った。
なんて面倒な話題をしていたのだろう。
大体、今更何故日本人の特徴を話す必要があるのか。
後で一発絞め殺す必要がありそうだ。
「……貴方の隊長にでも聞いてみたら?あの変態鬼畜野郎なら向こうに行った事があるんだし」
ヨザックはボソリと「酷い言われようだな」と零したが、それよりも珍しく自分の話題に乗ってくれた双黒の姫君の配慮が嬉しくて、ついつい口元が吊り上がってしまう事を止められない。
しかし、当の姫君は快く思わなかったらしく、訝しげにその瞳を細めた。
「何?」
「いや、何でもない」
「あ、そう」と言うと、丁寧に多分葉月好みに入れられているのであろう、ロイヤルミルクティーに口付けた。
勿論、味は思った通り。