[ 20xx年 7月20日 日記帳に綴る取留めの無い文面 ]




年明けなら、
未だ、教壇の向こうに座っている生徒の中の1人っていうだけで、大した意識もなくて
想い人、というのも居なかったから、そこそこ気が合えば誰でも寝てたし、
別の街迄赴いて遊び歩いたりもした。
身体的な快楽を得て、違う男に股がって、複数回逢った人も居たけれど
でも、其れは俺の中に誰も居なかったから、の話。
『あの人』とも切れて ずっと持ち直すのに時間を有して、やっと踏み出した頃。

フリー、でいる事。
1人でいる事が、久しぶりで、楽だ、って、開き直って、
久しぶりに時間を持て余す感覚を『開放感』だと宣った

キレイな花を見つけては飛び回る蜂の様に
時には獲物を捕まえる蜘蛛の糸を張付けて
餌を持ち帰り嬲り味わう豹の如く

牙と針を隠して職務に就く時間
時折 引いた筈の一線を飛び越えて来る者がいる
―――――彼も、そう
立場があるから 
其れは背徳と云うものであるから
盲目のフリをして 誘ったんだよ 蜘蛛の糸を拡げて
君が奪いに着てくれる様に 
追いかけて 追詰めて 捕まえて 夢の中で、貪って

遊びの心算
1人くらい そういう相手が生徒の中に居ても良いじゃない
今思えば、こんな風に思っていたのは、自分への言い訳だったんだろうね
燻る熱が、一行に引かなくて
放課後 彷徨いながら あの月色を無意識に探す
誰かと居る所を見つけて 勝手に妬いている自分がいた


そんな時、――――――今更、連絡を寄越す、あの人
如何して、重なるんだろう
何処かで見ていたの?って、思うくらい

一度 寝て  
背後から 征服されて 背骨に落ちる灼熱が灯る毎に、
悲鳴と共に 記憶を引出される 
灼かれた舌で奉仕して 首を締められ貫かれ
甘い記憶も 激しい熱も ――――――振り下ろされた掌も、呼び起こす

何時から、貴方は俺をそんな風に抱き始めたんだろう、って

始めは 宝物の様に、触れてくれたじゃない
喚いて、引っ掻いて、事ある毎に喧嘩だってしてた
だけど何かあるとすぐに駆け付けて来て、――――包んでくれた、温かさ
想い合うと云う事
其れが当たり前で、永遠に続くのだと思うくらい、愛してた

……何時から
互いを繋ぐ指先が、 束縛の鎖に絡まったのだろう。



(誰かの記憶)

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