腹に
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※本誌ネタバレ注意。


『ふふっ…にいさん、くすぐったいよ…!』
『そうかそうか…』
『ふっ…ひゃひゃひゃ…!にいさ、くすぐらないで!』
『はは…忍たる者、これくらいに耐えられんでどうするーっ』

…あぁ、幼い頃の記憶か。くすぐったがって身を捩ると、兄さんも笑いながら更にくすぐり攻撃を仕掛けてきた。俺がまだアカデミーに入る前、お互いにただただ想い合っていたあの頃。なんのしがらみも壁もなく。

『ふふへ…っ』
『…サスケ、』
『ん?どうしたの?にいさん』
『…サスケは、ずっと』
『ん…?』
『………なんでもないよ』

あぁ、夢でくらい、続きを教えてくれてもいいじゃないか。兄さん、兄さん。いつも何かを言いかけた兄さんは、微笑むと額を小突いて誤魔化した。結局、その先は分からずじまいだ。穢土転生、とやらで再会して、欲しかった言葉を貰った今でも。
あぁでも、きっとそういうことかもしれない。あの頃、兄さんをまだ越えるべき壁と認識する前。兄さんは、額を小突いてから必ず、

『サスケ』
『ふひゃひゃ…っ!』
『……おまじない、だ』

俺のお腹に、唇を。あの頃はなにも分からず、家族の親愛のものだと思っていた。それに違いは無かったのだけれど。

『サスケ、お前は、俺のーーー…』

兄さん、兄さん。あの唇に、俺が考えた意味をつけてもよかったかな。たぶん、寸分違わず、合っていると思う。
だって兄さん、俺は兄さんの、たった一人の弟だから。






実用的に鍛えられた腹筋に、封印式が浮かび上がる。下忍の頃は腹筋なんて最低限だった癖にしっかりつきやがって。舌打ちしつつ、後ろへ飛ぶ。さっきまで自分の居たところにオレンジのチャクラが刺さっていた。

「…なんのつもりだってばよ、サスケェ…」

ゆぅらりと立ち上がったナルトがこちらを睨みつけてくる。その瞳は朱い。九尾のコントロールには成功したと聞いていたんだが…。

「…答えろ!サスケェ!!」
「……答える必要はない」

会話が成り立つってことは本当だったってことか…。そういえば、ナルトのチャクラとも九尾のチャクラともとれない不思議なチャクラだ。……うまく融合したか。

「……ようやく、来たと思ったら…」

それにしても不思議なチャクラの衣だ。六道仙人とやらか。……どこまでもお前は唯の人間じゃないんだな。

「なんっでいきなりははは、腹に、ち、ちゅぅ…なんか…っ!!」
「……お前、思春期かよ」
「当たり前だろ!!ピッチピチの16歳!思春期真っ盛りだってばよ!!」

ぶふっ、と周りが噴き出している。…一応俺は敵なんだが…緊張感の欠片もねェな、こいつ…。
はぁ、と一つため息をついて、また距離を詰める。

「……呪だ」
「はぁ?…っ…!!」

キィン…ッ
甲高い音が鳴って、剣とクナイが交差する。蒼が目の前にあった。瞳に力をいれ、紋様を浮かび上がらせる。すると焦ったようにナルトが後ろへ飛んだ。

「…サスケェ」

戦場の空気は一変していた。周囲の忍はナルトのチャクラに圧され、一、二歩後退していた。ようやくお互いが本気になった。
仄暗いスサノオを纏うと、また全身の細胞が痛む。……イタチ、お前もだったのか。この痛みに耐えて…。
呪が効くかは分からない。もともと信じてもいない。それでも賭けてみようと思った。

「…サスケェ…」

鬱血痕を残す一瞬に、あいつの首は落とせた。それでも、俺は賭けた。呪とやらに。
……イタチ、あれにはあんな意味があったんだな。お前も、本当はそうしたかったんだろうか。……今になって、痛いほど分かった。
俺が込めたのはイタチの込めたものとは少し違う意味だけれど。……ナルト、俺は。

「サスケェエェエエ…!!」
「ナルトォ…!!」




お腹にキス。<回帰>
(またここへ、戻ってくる)

end.
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130214
たとえどんな結末を迎えたとしても。


ナルトがほぼサスケェしか言ってない(笑)
キスの意味を調べてたらお腹が回帰でもう…!
カッとなってやりました(笑)
お腹はクラマの封印式があるしもう…!←
サスケとナルトが本誌で会う前に!
をモットーに15分クオリティ。楽しかった!(((

イタチさんのキスは純粋です(笑)兄弟愛。
サスケのは独占欲を孕んだ鬱血痕。





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