私達の関係は周りからみたら唯の副院長と病院薬剤師。 それも数ヶ月までの事だ。 とある事があって部下に知られてしまってから、進展は早かった。 キラキラ光る結婚指輪。 何故か婚約指輪とは違う輝きを持っていると感じてしまうのは何故だろうか。 ふとそう考えてしまう。 これを所謂、惚気と言う事なのだろうか。 そんな中での彼との結婚。 あぁ、幸せ以上の言葉をもし誰か知っているのなら教えて欲しいものだ。 と、昨日まで浮き足立っていた私を思い出した。 「だから唯の飲み会よ、その後だって直ぐにタクシー捕まえて帰ってきたじゃない」 「そのタクシーの中に何で、エレンと言う奴も一緒に乗ってたんだと聞いてるんだ」 「エレンが送るって言うから甘えさせてもらっただけよ」 机を間に、旦那であるリヴァイと私は口論を続ける。 その内容とは、昨日の仕事の飲み会の事だ。 部下である、エレンとアルミンとミカサと看護師のクリスタと同期のハンジとその他で飲み会を開いていたのだ。 お酒も入ると言う事で、車は家に置いて来ていた。 変える時もタクシーを呼んで帰ろうとした時に、エレンに送って行きます。と心配されて渋々一緒にタクシーに乗って帰ってきたのだ。 それを家の前でみていたリヴァイ。 何故か昨日は口を聞いてくれなかったのだ。 「エレンって奴も下心があったに違いねぇ」 その言葉に何故かカチンと頭にきてしまった。 『ちょっとそれは言い過ぎなんじゃないの?彼は善意で上司である私を気遣って送ってくれたのよ、そんな事を考えるリヴァイに下心があるじゃないの。』 「…誰が下心があるって?」 「私の目の前にある貴方よ。誰彼構わず疑うのは貴方の悪い癖よっ、反省すべきだわ」 彼にこんな事を言うのは初めてだった。 結婚する前、お互いの考え方が違って少し口論になる事があった。 しかし、ここまで激しい口論は初めてだ。 それでも、私は嫌だった。 まるで自分は信用されてないみたいで。 「どうせ浮気したと思ってるんでしょ!冗談じゃないわよっ、何で好きな人が居るって言うのにそんな簡単に浮気する程甲斐性なしじゃないっ!!」 どうしよう、涙が出てきそう…。 視界が段々滲んでいく。 悔しかった。 簡単に疑われるのは。 悲しかった。 彼に信じてもらえないのは。 「私はリヴァイだけな…のっ!なんて…っ」 とうとう、溜まった涙は頬に流れ出してしまった。 情けない。 信じてもらえない上に、リヴァイを不安にさせたのは確かだ。 「悪い…」 「ごめっ…少しでも、不安にさせたのは私だもん…」 「俺も信じてやれなかった」 リヴァイは私の隣に座ってぐいっと、私を抱き寄せた。 身体が大きい方ではないリヴァイ、小柄な方である。 だけど、彼の胸は広くて逞しい。 あぁ、安心する。 私はこれから先この安心を手放す事は出来ない。 手放してやれない。 「悪かったな、俺は自分で思ったよりもガキだ」 「ふふ」 リヴァイがガキだって。 笑うな。 ごめんごめん。 「俺はお前を一生手放す事はしねぇからな、もしお前が俺を好きじゃなくなっても」 リヴァイは私の左手をその大きい手で包み込んでは薬指にはめられたキラキラ光る指輪に軽く口付けをする。 何処で、そんなキザな事を覚えてきたのかしら。 「ふふ、上等よ」 これから先も、一緒にいるなんて当たり前じゃない。 私も、再度誓いをかわす様に彼の左手の薬指にはめられたキラキラ光る指輪に軽く口付けをする。 また、喧嘩した時は。 また、こうやって仲直りしよう。 仲直りのちゅーしよう |