5月9日

お昼休み、買ってきた昼食に手もつかないまま上の空の友人。
どうしたの?と聞けば
「最近彼氏がそっけないんだよねえ」
と、つまらなそうに溜息と一緒にそんな言葉を吐き出した。


「喧嘩でもしたの?」

「んー、特にはしてないかな…」

普段、仲の良い二人を見ているだけに少し心配にもなった。


「どうしたんだろうね、聞くに聞けないよね」

「そうなの。下手に聞いて余計に悪化させるのもやだし」

「レポートに追われてるんじゃないの?毎回追われて撃沈してるイメージあるよ」

「ありえるー!放ったらかす自分が悪いのに、ピリピリしてたりするとこあるよね!」

友人本人にも思い当たる節があったのか、今まで上の空だったのに、次の瞬間には思い出したかのように怒り出していた。

「気長に付き合って待つしかないね」

「そうするわ。
それよりも、名前も早く彼氏とか作りなよ。
何か前に言ってた彼はどうなったのよ」

以前、掛け持ちのバイトをしたときに、しつこく誘い続けてくる男の人がいた。
見た目から性格から、軽い男を具現化したような人で苦手に思っていた。正直、迷惑なくらいだったこともあり友人に相談したはずなのに、何故だか彼女は、いいチャンスだ!と逆に張り切り出してしまった。
もちろん、そんなことは死んでも嫌だと断った。
彼にもお断りし続けた結果、彼の情熱を鎮火させる前に、暇つぶし程度の掛け持ちだった為逃げるように私が先にバイトを辞めてしまったのだ。
大学に入ってすぐの頃、もう随分前の話だけれど。


「本当にあの人は嫌だったんだってば!嫌な人と無理に付き合っても何もないじゃない!」

いつまでも引き摺られる話題に不満も溜まっていたせいで少しキツい言い方になってしまった。

「…ふーん。そっか」

「そうだよ」

最後の言葉は、私たちしか居ない空き教室にポツリと響いた。廊下を歩く学生たちの足音が大きく、友人に聞こえていたのかさえ分からないほどに小さな不満気な声だった。


友人の言葉に嫌な間が空いたことが少し疑問だったけど、気にしないように、そう決めた。
嫌なものは嫌なのだ。

親友とは言え、なかなか会えずにいたが久々に会うことができ今の不思議な現状も聞いてもらいたかったのだが
それ以上話す事はやめてしまった。
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