いつもどおりの朝が来て、いつもどおりに日が沈み
淡々と時間だけが先へと進んでいく。

幾度となく繰り返す日々の中で、僕は顔もわからない名前を探し続けた。


病に倒れたこの地で、最期の瞬間まで離さなかった小さな紙たち。
やっとの思いで彼女からの送られたその手紙たちを探し出した。
いつかの日のために、庭に咲いた花を、誰からか教わった押し花にして、 手紙と同じように保存していた。

二度の生を受け、三度目の今
これまでとは違う、確信めいたものが僕にはあった。


今、どこかで
彼女が、生きていてる、と。



交わした手紙の中で
彼女は、生きる世界のヒントを沢山くれていた。
掘り起こした手紙を読み返しながら
間違いなく、この時代であることを確信した。



手紙を掘り起こしてから、普段は気にも止めていなかった
当時の本陣跡へと向かった。

山の中の本陣跡には
特にこれと言ったものがあるわけでもなく
ただ、ここが本陣跡であったという立て看板が、備え付けられているだけだった。
そういえば、僕はこうして名前を探そうと何度もこの地を踏み、生を繰り返しているが
当時の部下や、諸国を治めていた大名達も僕と同じようにこの世に生まれているのだろうか。
初めて、そんなことを考えたが、無駄なことだとすぐに考えるのを辞めていた。
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