どうしても名前に伝えたいことがあってね
出陣前に走り書きで申し訳ないが、書いておこうと思ったんだ。
この手紙が君に届いても、きっと君が返事をくれる頃には僕は城を出ているから、返事は必要ないよ。

僕が今いるこの城の庭は本当に美しいんだ。
秀吉が僕の療養の為にと、わざわざ整えさせたんだ。
必要なのにね、友人思いな優しい彼のことを思うと少し笑ってしまうね。
そう、城から見る城下町も本当に綺麗なんだ。
どうにか、この景色を名前と望みたい。
床に臥せっている間に、どうすればそれを叶えられるのかか考えてみたんだ。
だけど、残念なことに僕には絵の才はなければ時間もない。


だから、名前に会いに行こうと思う。
名前に会って、君を、君の時代の僕の城に招待したいんだ。

軍師とは思えない、突拍子な考えだろう。
でもね、どれだけ先の世に居ても、必ず迎えに行くよ。
だから、待っていてくれないだろうか。


必ず、庭の花を一輪だけ持っていく。
気づいてもらえるよう。




愚かな話だけど、文を交わす内に僕はどこか名前に惹かれていた。
どこのだれとも知れない名前が気になり出していた。
きっと、断られることが目に見えているし、自分でも愚かだと思っているけど、僕の気持ちだけでも知っていてくれないかな

僕は、どうしようもなく名前を慕っている。
君には、感謝しかないよ。ありがとう。
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