7月6日
やっとの思いで、手紙を開いた。
その頃にはもう、手紙が置かれていてから1週間近くも経っていた。
文面は今までの手紙のなかで一番、力強く書かれていて、読み終わる頃には涙が溢れてしまって文字はまともに見えなくなっていた。
半兵衛さんが書いた文字の上から落とされた私の涙で文字は滲んでしまった。
半兵衛さんが変えてしまった、私。
半兵衛さんという存在の大きさ。
どうして、今更知るのか。
どうして、もっと早くに気付けなかったのか。
もう、待つことしかできない。
待って、彼からの手紙が来る事をはないと先の世に生きる私は十分知っているのに
待つことで、もしかしたら
久しぶりだね。と、いつものどこか人と距離を置いたような、それでも優しさに満ちた彼の手紙が
また蔵の中にそっと置かれているのじゃないかと、期待してしまうのだ。
私は、こんなにも彼の事を好きになっていた。