6月30日

半兵衛さんとの手紙が絶えて3日程経った頃だった。
女将に蔵に置かれている長持から食器を持って来るように言われ
最後の手紙をもらってから、3日程とはいえどうしても足を向けられずにいた蔵に踏み入った。


つい癖で目をやったのは、いつも手紙がおかれていた場所。

そこには、あるはずのない
名前
と、見慣れた綺麗な文字で私の名前が墨で書かれた、腰文。


どうして、なぜ
そこに彼からの手紙があるのか。
暫く、その手紙から目を離せなかった。



腰文を制服である着物の袖口にそっとしまってから、頼まれていた食器を厨房へと運んだ。
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