6月22日
2週間程経った頃、蔵に1通の手紙が置かれていた。
急いでその封を切った。

『ずっと返事をできなくてすまなかったね。
友人が見舞いに来てくれていたんだ。
名前の姿が見えなかったとしても、例え同じ時に生きる人でなくても、心は傍にいてくれるのだと思うと、僕はどんな事にでも立ち向かえる気がするし、どんな困難にも打ち勝つことができそうだよ。
本当の僕の話をしていなかったから、今更だけどしておこうと思う、読んでくれないかな。
名前は、竹中重治。半兵衛とも呼ばれている。美濃国の出で、今はよく話に出ていた友人の、秀吉の元で軍師として戦に出ていたけど、今は都で療養している。
どうも、文の中で君との会話が噛み合わなくて、おかしいとは思っていたんだけど、悪い気はしなかったからあえて問いただしもしなかったんだ。
僕はこれから暫くしたら、都を出ようと思う。秀吉のためにも、何より僕自身のためにね。
あと数日は京にいるから、少しでも長く名前と文を交わしたい。』



読み終わる頃には、普通じゃ訳のわからない文面が並んでいるというのに
何故だか、納得している私がいた。
今までの私の違和感は、彼も同じように感じていたのか。

それでも、彼自身が竹中半兵衛だと言うことには驚いた。
友人の名前が秀吉だと言った。
じゃあ、もう絶対に私が調べて知った、竹中半兵衛その人じゃないか。
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