6月8日

友人と仲直りをしてから1週間程が経った。
そして、重虎さんから返事が来ないままにもうすぐ2週間が経とうとしている。

不思議な手紙交換が始まったのが4月の頭、もう6月に入り
梅雨入りが近づいている。
桔梗の間の庭には、大量の紫陽花が紫やピンクの花を咲かせ、より一層季節を感じさせている。


長く返事がないことが、あまりにも不安に思う。
重虎さんが言っていたことは、このことだったのだと実感するとともに、知らずのうちに随分と心配をかけてしまっていたのだと反省した。

きっと虎重さんは元気になって、また職務に復帰しているんじゃないかと思っているし、信じている。


どうしてこんなにも不安なのか、そんなのわかりきったことなのに、見ないフリをした。



「手紙!?なにその古風なキーワード」


まだ母からバイトの休みをもらっていたため、折角だしとパフェを食べに友人と一緒に大学近くのカフェに来たのだけど
文通のことだけを話してみたところ、案の定ひどく驚かれた。もとより丸くて大きい目を、更にまん丸にして驚いている。
たぶん、それが普通の反応なんだろう。私も、最初はとても驚いたもの。



「そう、手紙」

「手紙なんて今時なかなかないからね!いいね、おもしろい。
で、その相手との恋愛に発展してくんだね!」


「も〜、そんなんじゃないって!てか、スプーンを振り回さない!」

本当にこの人は何でも恋愛にもっていきたがる…


「てか正直な話、本当にあんた大丈夫なの? なんか最近元気ないし、なんていうか覇気がないよ、あんなにキラキラしてたのにね、そりゃもう嫉妬しちゃうくらい」


アハハと笑う友人に空笑いしか返せなかった。
キラキラなんていしていたのだろうか?


返事がなくて、彼の字を見ることができないだけで、寂しく思った。
ずっと、彼のことを思っている自分がいて、ずっと彼のことを心配している自分がいる。



ベタに夜空なんて見上げてみたりもした。

きっと、大丈夫だって自分を安心させたかった。
否定し、見ないフリを続けながらも
自分に嘘は吐けない。
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -