すべらかな肌

 その日の夕刻、ナマエはふたたび魔法舎へと出向いていた。魔法舎の玄関をくぐるのは一日ぶりだ。雪の積もる道を馬車で行くのは気が進まなかったが、しかしオズとの間にいざこざを残したままでいたずらに日を重ねることは、もっと気が進まなかった。
 思い立ったが吉日、善は急げとも言う。どちらかといえば即断即決を好むナマエは、アーサーとの面談ののち僅かな仕事を片づけて、そのまま魔法舎にやってきたのだった。
 連日にわたる事前の承諾なしでの訪問。そういう意味でも、そろそろオズに嫌な顔をされるかもしれない。居留守でも使われたらどうしようか──そんなことを考えながら、ナマエは駆け足で魔法舎の階段を駆け上がった。昨日と同じく気は重くても、足取りまでは重くない。一度こうと決めてしまえば、あとは身体を動かすだけだ。
 五階まで一気に上り切ると、ナマエはふと、廊下の窓から外を見る。依然振り続ける雪はいよいよ勢いを増していた。風も強くなってきたのか、雪は横殴りに木々や建物に吹き付けている。吹雪とまではいかぬものの、中央の国では記録的な積雪となるのは間違いない。
 溜息をつき、視線を窓から外した。オズの部屋の前まで辿り着くと、勢いそのままに扉をノックした。
「オズ様、いらっしゃいますか? ナマエです。突然押しかけ申し訳ございません、お話があってまいりました」
 昨日の今日だから、ただでは開けてもらえないだろうと覚悟はしていた。だからナマエは、扉を開けてもらえるよう、ノックと同時に用件をさっさと伝える。
 すると意外にも、肩透かしなほどに呆気なく、扉はぎいと音を立てナマエの前で開いた。ナマエは反射的に部屋の中に視線を走らせる。オズは言葉もなく、定位置である肘掛け椅子に腰掛け暖炉の火を瞳に映している。
 暫し待ったが、入れとは言われない。それどころか、ナマエに対して一瞥すらも寄越してはくれない。まるでナマエの存在になどまったく気付いていないかのように、オズはひたすらに沈黙を守っていた。
 冷たく尖った居た堪れなさが、立ち尽くすナマエをざくりと粗く突き刺す。思わずぎゅっと、強く手のひらを握りしめた。
 ──だけど扉を開いてくれたのだから、入室を許してくれたに違いない。
 ごくりと唾を飲み込んで、ナマエは己を鼓舞した。そしてゆっくりと、大股でオズのもとまで近寄っていく。
 一歩、また一歩とオズとの距離が近づいていく。オズはまだ、視線を寄越さない。さらに一歩、ナマエは大きくオズとの距離を縮める。
 やがてオズの座す肘掛け椅子のすぐそばまで歩み寄ると、ナマエはひと言「オズ様」と呼びかけた。その声に、オズが真紅の瞳をつと上げる。
 けしてオズに阿ることのない、媚びもへつらいもないきっぱりとした声音。特段美しい声ではない。それでもよく通る、凛とした声だった。
「オズ様。昨日は私の至らなさにより御不快な思いをさせてしまい、大変申し訳ございませんでした」
 ナマエはきっぱりと謝罪を口にし、それから深く頭を下げた。
 昨日アーサーと話をしたことで、ナマエは自分の心の中にあるもやもやと薄暗い不安について、それなりに知覚できるようになった。
 アーサーはオズを信じると、そうはっきりと断言した。それならばナマエもアーサーの判断に従うまでだ。主君が過ちを犯せばそれを正すのも臣下のつとめだが、この件に関してのみ言えば、ナマエも本来オズを信じていたいのだ。ただ、その信頼を揺るがす伝承を目にし続け、多少眼が曇っていた。よって少しばかり、不安になっていた──不安になり、オズを疑った。
 けれどすべてはきっと、ただの杞憂なのだろう。他でもないアーサーがオズを信じるというのであれば、ナマエがそれに従わない理由はない。数多伝承が残ろうと、何年も実際にオズと暮らしたアーサーの言葉はそれら伝承と比肩し、伝承の数々を疑うに足る重さを持つ。
 たとえそれが、問題の先送りでしかなくても。
 難題の棚上げに過ぎずとも。
 今はそれで、よしとするしかない。ナマエにできることはといえば、そうして「それでよし」としている間に、オズの潔白を証明する証拠を探すことだけだ。
「不快な思いなど……」
 オズが低く、歯切れ悪く呟いた。ナマエは薄く、微笑む。
「五百年前の『ご旅行』については、こちらでの資料集めと文献の精査に不足がございました。ですので正式に伝記に記すに足る資料を集め終えるまで、ひとまずは先延ばしにしておこうかと思います」
「それはお前の判断か」
「いえ、事業の最高責任者はあくまでアーサー殿下です。アーサー殿下に指示をあおいだうえで、最終的には協議でそのように決定いたしました」
「そうか……」
 オズが静かに目を伏せた。それがどのような心情に基づく仕草なのか、ナマエにはまるきり見当もつかない。しかし、少なくとも今日のオズから怒りを感じることはない。ならば今は多くを望むべきではない。ナマエはそう納得した。
「そういうわけですので、さくっとその辺りの時期は飛ばして、オズ様が北のお城に戻られた頃の伝承を中心に蒐集、精査していくことになります」
 ひとまずの目的──オズの怒りを解き許しを求めることは達成したと見て、ナマエの心は多少軽くなった。ついでに口調も軽くして、今後の仕事についての説明を始める。
「ですので今後も、何卒ご協力いただければ幸いです。といってもこの辺りからは年代がかなり近くなってまいりますので、口伝も少なく正しい資料や文献を探すのも少し楽になるのではないかと思います」
「そうか」
「もちろん北の国に伝わっている記録がほとんどですから、そういう意味での難しさはありますが……。幸い、中央の国には北の国から取り寄せた資料も多いですから。しばらくはデスクワークが続きそうです」
 するとオズが、やおら目を上げナマエを見た。
 真紅の瞳は凪いでいる。
「つまり、暫く此処には顔を出さないということか」
「え? ああ、いえ。もちろんオズ様のお話も伺えたらと思っておりますので、まったく顔を出さないということはないのですが」
 それに新たな年代に取り掛かるとなれば、魔法舎にしか現存していない文献の中身を確認する必要もある。オズに直接の用事がなくとも、どのみち魔法舎に足を運ぶ機会は少なくない。城の作業室と書庫にこもって仕事をし続けているよりは、時折魔法舎に仕事の場を移す方が精神衛生上健全であることは明らかだ。
「それに、仕事にかこつけてオズ様とお話をさせていただくのは、私のささやかな楽しみなのです。あまり大きな声では申せませんが」
 そこでナマエは少しだけ、自分の言葉を恥ずかしがるよう、はにかんで笑った。
 ナマエにとって城での仕事はほとんど苦にはならない。たとえどれほどハードワークでも、そんなことは職に就くと決めたときから知っていたことだ。知っていて、なお望んで得た仕事なのだから大した苦にはならない。
 しかし時には、閉塞的な城内の空気に辟易することもある。以前はそれでもカインがいたが、今の城内にはアーサーしか友人と呼べる相手はいない。そのアーサーとて、友人である以前にナマエの主君だ。本来そうそう気安く会える相手でもない。
 そこへいくとオズは、ナマエにとってこれ以上ないほど丁度いいポジションにいる相手なのだった。もちろんたびたびオズと会っていることが城の人間にばれれば、いい顔をされることはないだろう。ナマエもそのことは十分に危惧している。
 しかしこの魔法舎でオズを訪れる分には、そうした事情は考える必要がない。オズは見かけの恐ろしさに反して存外話をきちんと聞いてくれるし、オズの話を聞くのもナマエにとっては面白い。オズとの面談の時間は、いつしかナマエの日々の楽しみにまでなっていた。
 ──もしもオズ様に会えなくなってしまったら、きっと毎日はずっとつまらないものになるに違いない。
「ですからこうして、」
 無礼を許していただけてよかったです、と。ナマエが続けようとした、その矢先。
「お前は私を恐れていないのか」
「え?」
 ふいにオズにそう問われ、ナマエは戸惑いまばたきをした。
「恐れ……?」
「そうだ。大抵の者は私を恐れ、厭うものだろう」
 別段感情的になることもなく、オズは淡々とした声音でナマエへの問いに言葉を重ねた。ナマエはオズの肘掛け椅子のそばに立ち尽くしたまま、今しがた掛けられた言葉の意味を考え、思索を巡らせる。
 恐れ、厭い──たしかにナマエも、かつてはオズを恐れていた。オズの恐ろしい伝承を幼いころから何度も聞き、非道な言い伝えを数多書物で読んできた。それはちょうど、ナマエとアーサーが一時保留とするしかなかった、五百年前のオズの伝説と同じようなものだ。それらは真偽を考えるまでもなく、当然のように語り継がれ、ナマエも受け容れ育ってきた。
 ──だけど、今は少し違う。
 今のナマエはオズ本人の人となりを多少なりとも知っている。だからこそ、五百年前のオズについては棚上げしようと決めたのだ。オズのことを信じているから、文献のまま極悪非道に記すことなどできなかった。そうでなければアーサーが何と言おうとも、ナマエは「真実」をありのまま書き記しただろう。正しい事実を記すことこそ、文官のつとめだ。
 オズのことを信じている。恐れよりも、親しさを感じている。思えば昨日あれほど冷淡に突き放されたにもかかわらず、ナマエの抱いた感情は冷酷無比な魔法使いオズへの恐怖などではなかった。そこにあったのは少なからず親しくしている知人であるオズから、ナマエの自業自得とはいえ突き放されたことに対する、悲しさのようなものだった。
 恐れてはいない。厭うなどもってのほかだ。
 それなのにオズの口から恐れぬのかと問われるのは、あまりにも──寂しい。
「昨日のことでしたら、オズ様のお気持ちに配慮せず無神経なことを申し上げた私が悪いのです。自分の至らなさ、未熟さを反省こそすれ、オズ様への恐れに転嫁するのは筋違いでございます」
 あえて慇懃な口調でナマエは答えた。茶化すべきではないだろうと思っていたし、ナマエ自身オズからの問いに適当な返事をしたくはなかった。
 恐れていない。厭うてもいない。
 自分はオズを、理解できない遠い存在だなどと思ってはいない。それだけは、正しくオズに知っていてほしかった。
「それに、オズ様のことを恐れておりましたら、こうもたびたびお部屋でお茶をご馳走になったりしませんよ。ああ、でも、人々を率い上に立つ者としては、恐れられることも時には必要な事なのかもしれませんが──」
 真面目な顔をしてナマエが続けた、その時。
 話しながら胸のあたりで忙しなく動かしていたナマエの手を、ふいにオズが腕を伸ばし、掴んでとらえた。
 え、と言葉を切り、ナマエはオズに掴まれた自らの手を見下ろす。そしてオズもまた、ナマエの手をしっかりと握ったまま、言葉もなくただじっとふた組の手を見つめていた。
 男性の手にしては繊細で、すべらかな肌がナマエの手を包むように握っている。ナマエも貴族の娘なのだから肌理細かな肌をしているが、文官である以上は書庫の整理など力仕事も任される。だからほかの貴族の娘に比べれば、ナマエの手はペンだこもあるしっかりとした手だ。
 ──オズ様の手は、生活というものをまるで知らない手のよう。
 そんな思い付きが脳裏を過ぎる。紅茶の支度すら魔法ですべて済ませるオズだ。おそらく手を使うありとあらゆる作業を、魔法で片づけてしまっているのだろう。オズの手の美しさは、魔法使いとしての偉大さをそのまま示しているようでもある。
 そんなことを思い感嘆しかけたところで、しかしナマエははたと我に返った。
 思考している場合ではなかった。ナマエは今、オズに手を握られている。それも、両手を掴まれているのだ──尋常なことではない。
「ええと……オズ様?」
 おそるおそる、どうにかそれだけ言葉にして、ナマエはオズの反応を待った。
 オズは茫漠とした視線をふた組の手に送っている。かと思えば、ふと意識を取り戻したかのように、ナマエの顔をつと見据えた。赤い焔のような瞳は、何故だか妙にぎこちなく、戸惑っているようにも見えた。
「如何なさいましたか? もしや体調がすぐれないとか」
「それはお前の方だろう」
「今はもうぴんぴんしております」
 絶対に大丈夫とばかりに笑って見せるナマエだが、オズにはあまり信用されていないらしい。
「しかし今日も目の下に隈ができている。また睡眠を削っているのだろう」
 溜息まじりに言われてしまい、ナマエは情けなく眉を下げた。
「いえ、そのようなことは……以前ほどには……」
「以前と比べることに何の意味がある。以前はそもそもまったく十分な休みをとれていなかったのだ。多少それが改善したところで焼け石に水程度のものでしかないだろう。大体アーサーもお前も、限度というものを知らない。自分の限界を知らず無理をしていては──何がおかしい?」
「ふ、ふふっ」
 オズのひたりと見据える視線に、ナマエははっと慌てて口を閉じる。しかしそれも一拍間に合わず、浮かれた笑い声がぽろりと口から転がり出てしまった。
「も、申し訳ありません」
 ナマエが慌てて謝るが、オズは顔色ひとつ変えずに言う。
「叱っているわけではない。何がおかしかったのかと不思議に思っただけだ」
「いえ、大したことではないのですが、ただ──」
 ごほん、とひとつ咳払いをして、ナマエは一応のかしこまった表情をつくる。しかし浮かれた感情を押し殺すことも結局できず、きりりとした顔はすぐにへなりと締まりのない顔に変わった。
「こんなことを申し上げては失礼かもしれませんが、その、オズ様に心配していただくというのが、どうにもこう、嬉しくて」
「嬉しい?」
「ああ、ですがこのようなことではいけませんね。体調管理についての未熟さを指摘されているというのに、こんな気の抜けた態度では──」
 指導を受けるのに相応しくありません、と。そう続けるつもりだったはずの言葉は、しかし言葉になることもなく、ナマエの喉の奥に飲み込まれて消えてしまった。
 ナマエが驚き、息を呑んだからだ。
 今の今までナマエの手を握ったままになっていたオズの手が、やおらナマエの手をするりと離したかと思えば。その手は今度は脈絡なく、ナマエの頬にそっと添えられた。ナマエの左の頬を覆うように、オズの手のひらがゆっくりと、まるで溶けかけの雪を、崩してしまわぬよう触れるかのごとく。
 触れて、掠めて。
 そしてまた、触れた。今度は最初よりもう少しだけ、はっきりと。ナマエの頬の輪郭に、手のひらのかたちを沿わせるようにして。
 オズの手は冷たい。いや、ナマエの頬が熱いのか。いずれ、触れあった場所は肌と肌の温度の差をはっきりとナマエに意識させる。否応なく、感じさせられる。異なる温度の肌が触れ合っていることを。
「お、オズ様……?」
 薄く開いたくちびるから、ナマエの戸惑う声が漏れる。
 そのくちびるの隙間に差し込もうとでもするように、オズの整えられた親指がナマエのくちびるの端に触れる。先ほど観察したばかりのオズの指が、触れられているという感触のみをナマエに与える。たしかめるように、オズの指はナマエの唇を柔らかく往復し、なぞる。
「あ、あの、オズ様、」
 訳も分からず、ただオズの名を呼ぶだけ──その時。
 ナマエの惑い尽くした深い瞳が、ふいにオズの瞳とばちりと重なった。それまで何処かぼんやりとしていたオズの瞳に、その瞬間、唐突に芯が戻った──ように、ナマエの目には見えた。
 オズの手が、ぱっとナマエの頬から離れていく。身体ごと、わずかに身じろぎ後ずさる。
 ナマエもオズも、無言だった。オズは元々言葉数が少ないが、ナマエに限っては今この瞬間に発すべき言葉というものを、まるきり、本当に何ひとつ思い付かなかった。
 物心ついてから、家族以外の相手にこうして肌に触れられたことなど、ナマエの覚えている限りでは恐らく一度もない。アーサーやカインにすら、最低限以上のスキンシップはしてこなかった。それは相手への敬意や礼儀でもあったし、単に年頃の娘としての慎みでもあった。
 ──それなのに。
 オズの触れていた部分が、今もまだ熱を持っている。あれほど冷たい手のひらに晒されたというのに、ナマエの顔は今もどんどん熱くなるばかりだ。
 オズの行動の真意は理解できないが、ただただ今は恥ずかしい。どうして恥ずかしくなるのかもよく分からない。オズはオズで、友人でもなければ、まして──

「口に、菓子がついていた」
 それまで黙りこくっていたオズが、不意にぽつりと言い放った。おまけにオズはさりげなく、自らの指の腹をこすり合わせる。それはまるで、ナマエの口から拭った菓子の滓を落とすかのように。
 いや、実際そうしたのだろう。
 ナマエの口についていた菓子を、オズが手ずから拭ってくれたのだから。その滓を擦り落とすのは当然のことだ。
 が、オズの言葉の意味を理解したその瞬間、ナマエは直前までとはまったく別の理由から、顔を真っ赤に熱くした。 
「わっ、も、申し訳ありません……! 恥ずかしい……!」
「気を付けるように。食べたら口を拭きなさい」
「はい……」
 二十歳も過ぎた年頃の娘が、あろうことか菓子の滓を口の横につけていただなんて。おまけにそれを、世界最強の魔法使いの指先で拭ってもらうだなんて。
 ──あ、穴があったら入りたい……っ!
 あまりの情けなさに、思わずナマエは頭を抱えてその場にしゃがみこんだ。貴族の娘だというのに。成人女性だというのに。アーサーの忠臣を自称し、日々アーサーに恥じない行動をと心がけているというのに。
 口の横に菓子の滓とは。
 今日日年端も行かぬ子供でも、もっとしっかりしているのではないか。
 しかもこれが自宅のことではなく、オズの面前でのことだというのだから、ナマエのショックも一入だった。穴があったら入りたいどころか、勝手に暖炉にでももぐりこみたいくらいの羞恥だった。さすがに火の入っている暖炉にもぐりこむほどの度胸はないが。
「えっ、というかお菓子って、もしかしてアーサー様のお部屋でいただいたお菓子……? そんな、何時間もお菓子の滓を口につけて生活していたなんて……」
 おまけにその状態で仕事をし、馬車に乗り、ここまでやってきた。一体この部屋にやってくるまで何人の人間と顔をあわせただろう。さぞや間抜けな人間と見られていたに違いない。
「……菓子ではなく、埃だったかもしれない」
 ナマエのあまりの打ちひしがれように、オズがぼそりと訂正した。
「そうですか……? それならまだ、最低限の尊厳は保たれます……」
 オズがふっとナマエから目をそらす。オズの視線の先はちょうど、先程オズが指についた滓を擦り落とした辺りだ。ナマエもつられてその辺りの床を眺めてみたが、幸か不幸か、オズの言うような滓も埃も、ナマエの目では見つけることはできなかった。

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