クラレオ
2017/03/17 21:04


ハンター試験・四次試験の最中、レオリオとコンビを組んで共に行動していた時、たまたま木の枝に指を引っ掛け怪我をしてしまったオレは、レオリオに手当をしてもらっていた。
大した怪我でも無いし、放っておいても問題無いだろうと思っていたのだが、それを見兼ねたレオリオは「バーカこういう小さい怪我からばい菌が入って大変なことになることもあるんだぞ!」とブツブツ小言を吐きつつ、持ち前の救急セットを開き始める。
流石医者を目指していると言っていただけあって、迅速且つ丁寧な処置をしてくれた。
ゴツゴツとした大きな手をしていながら、その動きは実に繊細である。


「…驚いたな」
「あ?」
「流石、慣れた手付きをしている」
「へっ、オレを誰だと思ってんだ。これくらいの擦り傷くらい、お茶の子さいさいよ」
「普段の下品な態度からは想像もつかんな」
「テメーは人を褒めるのにも、いちいち余計な一言付けなきゃ気がすまねぇのかよ」


ケーッ!と子供のようにふて腐れて唇を尖らせるレオリオに、オレは見られないようコホンと咳払いをするフリをして拳で口元を隠し、密かに頬を緩ませた。

逆なのだよ、レオリオ。
余計な一言でも付けて平常心を保たなければ、緩みきった顔をさらけ出してしまうことになるだろう。
特にレオリオと居る時に関しては、どうにも気が緩んで仕方が無い。


「どうせオレはゴツいオッさんみたいなナリしてっからな」
「そこまで言ってない」
「歳の話をすると大抵ビックリされるぜ。嘘ー!?見えなーい!ってな」
「そこは否定できないな」
「へっ。どっかの誰かさんみたいに、色白の金髪で綺麗な顔で生まれてこれてりゃあ、違う人生もあったかもな」


そこまで吐き棄てるように言うと、「ほい、終わり」と手当をしてくれた部分を軽くポンと叩くレオリオ。
手当が終わると、優しく触れてくれていたあたたかい手が、スルリと離れようとする。
のを、オレは逃すことなくギュッと握り締めた。
瞬間、レオリオは驚いたのか目を見開く。


「な、んだよ」
「確かにこの手は、ゴツゴツと大きくて骨ばっているな」
「なっ、うるせーよ!」
「けれど私は、この手が好きだ」
「っ!」
「友のためにと涙を流し、ただただ一心に人々の命を救う者を目指しているどこかの誰かさんを、私はとても綺麗だと思っているよ」


そう伝えると、レオリオは目で見て分かるくらいに顔を真っ赤に染めて、「そ、そうかよ」とか細く呟くのが精一杯とでも言いたげに、大きな体を猫背に丸めて顔を俯かせた。
悪態つくと「余計な一言」と言ってふて腐れて文句を言うくせに、素直に褒めればこの有り様。

褒められ慣れていないのだ。
全く、愛おしいことこの上無い。


誰がなんと言おうと、レオリオは綺麗だ。




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