はしがき

今晩は、お嬢さん
今宵も幕は切れましょう

この手を取って
切り抜いて
青い切手を飾りつけ

赤いビロードの心臓と
シルクの月が燃えている

ひらり、ぱたん
ひたり、くらり

シーツの谷間で待っている
時計の針を隠してる

よく聞いて、二度は言わない
秘密のショーとドレスコード

子猫みたいなまばたきと
生娘みたいなくちびるで
三回窓をノックする

何をくれるの
僕をあげよう
どこにもいない半分を世界のどこかに落としたの

キスをおくれよ
鍵を預けよう
夜空の屑を詰め込んで君の部屋に届けよう

プライベート・ゴースト

触れてよ
まぼろしじみている

触れても
スプーンで掬っても
心も体も透けている

霧のスープに手を浸そう
朝が来るのを恐れてる

嘘じゃない
だけどイエスでもない
そこには何もないのだから

誰なの
君も知ってるよ

教えたのは僕
映したのは君

さてはて
じきに夜が更ける

あとがき
そして
カーテンコール


おやすみなんて言わせない
おやすみなんて言えないように、飽きるほど冷たくしてあげる



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