「はーいみんなー」


いつものようにヒロトとふうすけとあそんでたらせんせいがしらない女の子のとなりに立ってみんなをよんだ。みんながせんせいのほうを見ると、せんせいは話しはじめた。


「今日からこのお日様園の仲間になったみょうじなまえちゃんです」


みょうじなまえとよばれたそいつはもじもじしながら小さなこえで言った。


「よろしく・・・お願い、します」

「へえ、なまえちゃんっていうんだ!」


ヒロトがみょうじなまえにかけよってそう言うと、みょうじなまえは「えと、あの・・・」とかなんだか言ってまたもじもじしてた。おれはもじもじするやつはきらいだ。


「あ、オレはヒロトっていうんだ!」

「ヒロトくん・・・?」

「で、この子がふうすけ」


おれのとなりにいたふうすけがヒロトにしょうかいされると、ふうすけは少してれながら「よろしくな」と言った。


「ふ・・・ふうくん」

「はあ・・・ふうくん・・・?」


へんなあだなをつけられたふうくん、じゃなくてふうすけはかみの毛を指ですいてちょっとだけ顔を赤くした。


「これがはるや」

「・・・はるや」


これよばわりされた。しかもおれだけよびすて。


「よろしくね、なまえちゃん!」

「う・・・うん!」


ヒロトが言うとみょうじなまえはにっこりわらった。ちょっとだけかわいいと思ったのはひみつだ。



「ふーうくん」


俺となまえが始めてお日様園で出会ってから10年、高校生になった今もなまえの風介に対する幼稚な呼び方は変わらない。もちろんそれは風介だけじゃなく、俺やヒロトに対してもあの頃と変わらないままだ。


「またその呼び方か・・・はあ、なんだなまえ」

「明後日からテストなのにまだ課題終わってないんだ、わたし」

「・・・だからなんだ」

「見せてください」


放課後、勉強会を称して風介の家に集まった風介、ヒロト、俺、そしてなまえの4人。この4人の中で一番賢いのは文句なしに風介だ。その風介に課題を写させろと言うのは当然だろう。


「私のをか」

「そうでーす」


小さなため息をつきながらもしぶしぶなまえに課題を手渡す風介。風介やヒロトがなまえを甘やかすくせは昔とまったく変わらない。


「あ、じゃあオレも見るー」

「ヒロトお前・・・」

「いいよ・・・あ、晴矢は?」


大きな瞳が俺を捕らえた。


「・・・見る」

「よし!」


まだ幼さの残る笑顔を浮かべたなまえ。・・・ちょっとだけ可愛いと思ったのは、秘密だ。



お日さま園とはつこい


ふうくん呼びを気に入ってしまった自分がここにいる
20111101
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