Q.幸せとはなんですか?


いつものように彼の家へ足を運び、いつものようにシャワーを浴び、身体を求められ、また、自分から求めて。そんなかんじの日々が続いているわけなんだけど、ふとそれを考えたら、なにがなんだかよくわからなくなってしまった。

「あ、ッあ、・・・ぅ、んッ」
「あーあー、だらしねえなァ?」

こうして明王と繋がって、ぬくもりを感じているときが幸せなのかもしれないけど、強欲なわたしは、それでは満足していないみたいだ。けれど、何が足りないのかわからない。そこが一番重要なことなんだけど。

「だって、あき、・・・明王がッ・・・焦らす、から・・・ぁ、」
「なあなまえちゃん、頼み方ってもんがあるんじゃねえか?」

自分でも理解に苦しむような甘い甘い嬌声を上げ、犬のようにおねだりして。そんな外面とは裏腹に、頭の中ではこんなことを考えているなんて明王にばれたら怒られるかもしれない。明王はいつもわたしに、俺のことだけ考えてればいいんだよ、なんて冗談交じりの本気で云う。その真っ直ぐな眼差しがどうしようもないくらい好きだ。

「・・・もっと、して、ッ・・・」
「・・・30点だな」
「んッ、・・・あぁああ、ッ!」

ずぶりと貫かれる瞬間の快感のその先に、どんなものが待っているか知ってしまったから。どうしても、この幸せの上を求めてしまう。



「で、おまえ何考えてたんだよ」
「え・・・何って、なにが、」
「ずっと上の空だっただろうが」

やっぱりばれてたらしい。そのわりに明王は穏やかな表情で、テレビから流れる情報に耳を傾けている。そんな明王の綺麗に整った横顔に見惚れてしまうのは、これで何度目だろう。視線に気づいた明王と目が合ったから、なんとなく下を向いた。

「幸せって何だろうって考えてた」
「はァ?」

こいつ何考えてんだ、それを全力で示すような表情を浮かべたあと、明王は心底呆れたというようにため息をついた。わたしにとっては結構大事なことなんだけど、明王にとってはバカバカしいことなんだろう。

「バカかおまえ」
「バカって・・・」

長い間一緒に居たからかどうかはわからないけど、明王の考えがなんとなくわかってきたような気がする。

「あのなぁ、そんなもん考えなくてもわかるだろ」
「え?」

テレビに視線を戻してから、照れくさそうに、ぶっきらぼうに。いつもの明王はわたしの問いに明王なりの答えを出してくれた。そんな明王のことが、わたしはやっぱり、どうしようもないくらい好きだ。


A.俺とお前がこれから作りあげていくものだよ!


Q&A
20121102

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