佐久間がなまえ姉さんを抱いたらしい。 部活中にいきなり何を言い出すかと思えば「美味かったぜ、鬼道の姉さんの・・・」だと。ふざけた事を言うな。佐久間の言葉を聞いた瞬間、俺は思わず佐久間を殴り飛ばしていた。顔面にヒットした俺のパンチは自分の手も痛くなるほどで、それを受けた佐久間は言葉も出ないくらいに驚いていた。 けれどもそれくらい仕方がないだろう。なにせ俺の大切な大切ななまえ姉さんを汚したのだから。ああちくしょう。こんなに取り乱すなんて俺らしくない。やはり俺はおかしいのだろうか。血の繋がった姉のことを愛しているだなんて。 ★☆★ 「なまえ姉さん!」 「あれ、有人部活・・・うわっ」 玄関の扉を開けるとそこには、夕食の支度をするためにエプロンを身に着けているなまえ姉さんの姿があった。その姉さんに勢いよく抱きつく。抱きしめた瞬間にふんわりとしたなまえ姉さんの甘い匂いが俺の思考を停止させようとする。・・・しかし今は和んでいる暇などない。 「佐久間・・・っに!」 「うん?佐久間くん?」 佐久間の名前を聞いても驚いた反応はなく、むしろ佐久間と自分との接点を探しているようにもみえるなまえ姉さん。ああ、これだから天然な人は。いや、天然ななまえ姉さんも好きだが。 「あー、佐久間くんにね、」 「・・・っそれ以上、言わないでください」 「え、なんで?」 惚けるなまえ姉さん。 貴方は弟の友人に抱かれたなどという不埒なことを弟に言えるのですか。ほんとうに貴方は罪な人だ。俺を虜にさせ、さらには佐久間と・・・なんて。しかしなまえ姉さんなのだから仕方ない。佐久間がなまえ姉さんを好きになる気持ちも十分にわかる。 「?・・・ご飯作っただけだよ」 「そう、ご飯・・・・・・ご飯?」 「この前有人がいない時に佐久間くんが来たから」 何もせずに追い返すのは可哀相だと思い、優しい優しい俺のなまえ姉さんは佐久間に晩飯を作ってやった、と。・・・ああ、なんだ。じゃああれは俺の勘違いなのか。佐久間には悪いことをしてしまった。いやでも俺のなまえ姉さんの手料理を食うなんてあいつには100年早いぞ。くそ、もう一度殴ってやろうか。 20120405 |