なーんかつまんねーの。 日曜日の昼下がり。絶賛片思い中のなまえさんと色々な理由をこじつけてせっかく二人で出かけたと思ったら、出かけた先でばったり出会ったのはあろうことかキャプテンと霧野せんぱい。あーあ、なんでこんなとこに居んだよ。まじありえねえ。いい雰囲気だったのに。 でもなまえさんは優しいからちょっと話してバイバイ、じゃなくて4人でカフェでも行こうか!なんて言いだした。俺は全然構わないぞ、なんて誰の許可もらって言ってるんですかねえ霧野せんぱいは。あんた俺がなまえさんの事好きなの知ってるでしょうよ。 しぶしぶカフェに向かっている途中、なまえさんが「狩屋くん、勝手に決めちゃってごめんね?嫌じゃない?」なんて気を使って聞いてくれたから「俺はいいですよ、ちょうどゆっくり話をしたいと思ってたところですし」なんてにへらと笑って答えた。霧野せんぱいが俺を横目で見てにやにや笑ったけど、なまえさんのあんな綺麗な顔で聞かれたら嫌だなんて言えねえだろ。普通。まじなまえさんの笑顔最強。関係ねーけど。 ここだよ、となまえさんが指差したカフェはすごくお洒落なところだった。なんていうかなまえさんに似合うかんじの所で、ここでミルクティーとかカフェオレなんかを頼むなまえさんを想像してみたら頬がだらしなく緩んだ。霧野せんぱいにそんな顔を見られたくないから慌てていつもの表情に戻す。 扉を開くとカランカラン、という洒落た音が響いてちょっとだけびっくりした。窓際の席に座ると、隣に座ってきたのは霧野せんぱい。ちょっと、普通そこなまえさんの座るとこだろ!なに平然とした態度でそこ座ってんの! 「じゃあわたしはカフェオレ」 店員が来てすぐ、なまえさんが頼んだのはやはりカフェオレだった。「狩屋くんたちはどうする?」首を少しだけ傾げながら問うなまえさんと目があった。あーなんか和む。「じゃあ俺はコーヒーで」和みを邪魔するかのように霧野せんぱいが隣から注文。せんぱいにコーヒーは似合わないと思いますけど。いちごパフェでも食ってたらいいんじゃないですかね。「いちごパフェ、ありますか?」なまえさんの隣のキャプテンが真面目な顔で店員に聞く。この人甘党だったか?とか色々考えてたら吹き出しそうになった。 「狩屋くんはどうする?」 「え、あー・・・じゃあ俺なまえさんと一緒ので」 メニューを見るのが面倒だったからなまえさんと一緒のカフェオレを頼んでみた。霧野せんぱいが横から「狩屋はなまえのことが大好きだな」とかなんとか意味のわからない冷やかしをしてきたからテーブルの下で優しく足を踏みつけてやった。 「二人、仲良いよね」 「そんなことな・・・」 「そうだな、狩屋は俺の可愛い可愛い後輩だからな」 否定しようとしたら頭を撫でられた。触んな!と手をのけると、見ていたなまえさんが笑った。「狩屋くん可愛いね」いやなまえさんの方が可愛いっす。なんて言わない。二人きりならそんなキザな台詞を吐いていたところだろうが、俺の隣には霧野せんぱいが居座っている。そんなことを言おうものならばどうなるかは目に見えているからな。 「あ、いちごパフェ」 キャプテンの頼んでいたいちごパフェがきた。早くね?まあいいか。なまえさんがパフェを見て目を輝かせている。いちご好きなのかな。なんか女の子ってかんじして可愛い。それに気づいたキャプテンがパフェを一口食べた後、「いるか?」となまえさんに聞く。「いいの?ありがとう!」満面の笑みでなまえさんがスプーンを受け取り、パフェをほおばる。つーかこれ、地味に間接キスってやつじゃないのか。口元に真っ白なクリームがついているなまえさんはそんな事に気づかず。クリームに気づいたキャプテンは何を思ったのかクリームを人差し指ですくい、そのまま自分の口へ運んだ。 「甘っ」 冷静に感想を述べたキャプテンの横にいるなまえさんもいたって冷静だった。なんか自然すぎる。普通恋人でもなんでもない男がそんな事したらもっと他に反応ありますよね。もしかしてもうそういう関係とか?俺なんにも知らないで一人ではしゃいでたってわけ?あーやってらんねえ。 「帰ります」 立ち上がった瞬間、なまえさんが「狩屋くん?」と心配そうに俺の名前を呼んだけど無視して椅子の上に置いてあった鞄を手に取り、そそくさとカフェを出る。なまえさんの引き止める声が聞こえたけど、なんかもういいや。カフェから出てため息。「ほんっと、ばかじゃね」あーあ、何してんだ俺。我ながらすげー餓鬼。絶対霧野せんぱいに笑われる。 「狩屋くん!」 振り向くと、なまえさん。あ、追いかけてくれたんだ。優しい。なまえさんの顔を見るとなんだか勝手にやきもち焼いてた自分が恥ずかしくなって背を向けた。そんな俺に話しかけるなまえさん。「どうしたの?」「なんでもないです」正直じゃねーなあ俺。たぶん霧野せんぱいは今キャプテンに状況を説明してるんだろう。なんだかんだ言ってあの人は色々わかってるからな。 「ごめんね」 「・・・謝らないでいいです」 「なんかね、緊張しちゃった」 「は?」 思わず振り向くと、照れくさそうに笑うなまえさんが居た。 「狩屋くんに二人でどこか行こうって誘われて、すごく嬉しくて舞い上がってて、でもいざ会ってみたらすごく緊張した」 「・・・意味、わかんないです」 「あ・・・つまり」 なまえさんが俯きながら話を続ける。「わたし、狩屋くんの事好きなんだ」嘘だろ。全身に衝撃が走る。これって告白だよな?しかも目の前にいるのはなまえさんだ。なまえさんはふいに顔を上げてまっすぐに俺を見つめた。 「今度は二人でここ、来たいな」 カフェオレの魔法 リクエストありがとうございました! 20120129 ×
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