あふれ出たらその先に、
背を向けて立ち去る彼の背を見ながら湧き上がる感情をしっかり抑え込む。笑顔笑顔笑顔──笑顔を保て。

「し、進藤?」

「ん?何かしら?」

おそるおそる声をかけてくる社くんに笑いかければ、頬を引きつらせた。
あら、失礼ね。そんな引きつらせるような表情を浮かべてるつもりはないわよ──と、言いたいところだけど。

「えーっと、な」

「ごめんなさい。挑発だって分かってるんだけど」

「ん?」

とりあえずこの重たい空気をどうにかしたかったんだろう社くんが、私を見たり助けを求めて周りに視線をさまよわせていたので、周りに当たっても仕方がないと息を大きく吐き出して気分を落ち着かせる。

分かってるの、分かってるのよ。あの子が挑発してるだけで本当はそんな事思ってないって。だけどね、それでもあの人を軽視されたくない。

「本因坊秀策が──現れても自分の敵ではない、か」

──つまり、佐為さんは敵ではないと。
ふふふ、挑発だって分かってるのにどうしても我慢ならなの。そう言われた事に腹が立って仕方がない。

どんな理由があろうともそんな風に佐為さんに触れてほしくなかった。
あぁ、もう大人げなく怒りたいわ!いや、年齢的には大人じゃないんだから全然問題ないかもしれないんだけど。

「あぁ、キッパリ言われたな」

進藤が怒るんも分かるわと社くんもまた立ち去る彼らの背を見つめた。

「社くん──負けられないわ」

「…おう」

あーあー、秀英くんにも記者の人の翻訳が間違ってた、誤解だって言われたんだけどなぁ。あそこまで言われたら秀英くんには悪いけど、うん、挑発に乗らない手はないわよね。あんな事言われて引き下がれるわけがない。

「社くん、改めて頑張ろうね」

「当たり前や」

うん、塔矢くんにも気合い入れてもらわないとね!



あふれ出たらその先に、






(彼、高永夏くんはきっと大将よね。韓国戦だけ大将にしてもらえないかしら)

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智瑛さま & なずなさま、この度は企画にご参加くださりありがとうございました。本当に遅くなってしまい申し訳ありませんでした!
リクエスト内容は『北斗杯編の話』『社くんか韓国組との未来ifほのぼの..』という事で書いてみたのですが、ほのぼのにはなりませんでした。ごめんさない。
気に入って頂ければ幸いです。

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