よく分からないひと
最近周りが騒々しい。妙に浮足立った生徒とか、休憩時間になる度に別のクラスに行くクラスメイトとか。
他クラスには人気者が多いのでそれを見に行くとか、今までもそういう事はあったから別におかしな事ではない。けれど今までその中心は女子がほとんどだったのが、今回は男子が中心になっている。原因は簡単だ──飛び切り可愛い転校生が別のクラスに来た、という事。

「またあの転校生、オモシロ発言してたのよ」

「オモシロ発言?」

「そう、私がキセキの皆を助けてあげるって。男バスのマネージャーになったみたい」

ほう、帝光の男バスのマネージャーって選手の人気がある所為かすごい倍率なんだそうだ。マネージャーになったというなら、それはすごい。
聞き耳を立てていたわけではなかったけれど、すぐ近くで丁度考えていた転校生の話が聞こえて思わず反応してしまう。チラッと見ればにやにやと友人の反応を伺っている女生徒がいた。確かこのクラスの生徒ではなかったと思うけど。
友人である彼女は私と同じように素直に感心しているようで、その女生徒はそれに気づいて不満そうな顔をした。何だ、どんな反応をしてほしかったんだろう?

「何その反応?」

「ん?どんな反応してほしかったの?」

「そうねぇ、おバカな発言してるわとか?」

何で疑問形?と首を傾げる友人にまぁいいじゃないと彼女は笑った。不満に思ってもどうやら友人にそこまで感想を求めているわけではないみたい。

「あの子ね、多分逆ハー狙ってるのよ」

「ん?そうなの?」

「えぇ、現実が見えてないお姫様なのよ。自分が世界の中心だって思ってる」

だから目を覚ませてあげなくちゃと続けた彼女はあからさまに転校生を嘲笑している。美人さんみたいだからそれは結構な迫力である。
うん、でも私からすれば彼女も割とおバカ発言をしている様に見えるのは気の所為か。何だか友人の彼女も温い視線を送っている様な気がするんだけど。

「どうせキセキの皆にチヤホヤされたいって頭の悪い考えでマネージャーになったのよ」

「へー」

「いろいろと人によって対応が違うって聞くし…──って、そろそろ行かなくちゃ」

「うん?そうだね、次の授業が始まる時間だね」

時計を見てまたいろいろ報告するわと言ってそうして彼女は去って行ったんだけど、彼女は一体何者なんだろうか。不思議な人だ。
まぁ、私には関係ないからどうでも良いんだけど──と、ここで話を聞いてあげていた友人の彼女と目が合った。おっと、見過ぎたか。

「煩くてごめんね」

苦笑して謝罪した彼女に慌てて首を振って──休憩時間になる度に報告を受ける彼女に同情した。



よく分からないひと






(あの子の所為で男バスが機能しなくなってきたから、そろそろ動こうかと思うの)(ん?)((──…また何か言ってる))

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圭さま、この度は企画にご参加くださりありがとうございました。本当に遅くなってしまい申し訳ありませんでした!
リクエスト内容は『モブ系のキャラに一切関わらない本当に唯傍観しているだけの傍観主で、悪女か成り変わり傍観か、悪女排斥逆ハー希望の自称傍観主を傍観』が読みたいということで如何でしょうか?
テニプリか黒子かハイキューという事で、今回は黒子にしてみました!全然キャラが出てきませんでしたけどね(汗)
今回出演した彼女たちがどことなく『少女方程式』の二人っぽくなってしまった気もしますが、気に入って頂ければ幸いです。

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