──あぁ、何だか飽きちゃったなぁ。
目の前で行われている茶番劇を眺めながら、内心溜息をついた。冷めた目になっているのも自覚してる。
生まれ変わっても、この世界は昔と同じようにしっくりこなかった。だから面白くするために"白蘭"っていう昔の僕ではない別人になって過ごしてみたけど、取り巻く環境は相変わらず気持ち悪い。今の自分である"灰崎祥吾"の見た目が不良っぽいからそれらしく振る舞ってみたけど、寄ってくるのはどうでもいいものばかり。
全力で楽しんでみようかと思ったけど、何だか全部無駄だった感じ。つまらないなぁ。
「なぁ、もう用がないなら俺は帰るぞ」
お前は必要ないと言われた。ならば此処にいる必要もないよね。そう思って同じ部活のメンバーだった──あぁ、違うね。元、同じ部活のメンバーだった彼らに背を向ける。
「なっ!?ショーゴくん、それだけッスか?」
「はぁ?何だよ、それだけって」
「だって…──」
驚いたような声をあげたのは、たった今、僕からポジションを奪って見せたリョータ。何かな、その顔。意味が分からないって顔で僕を見てくる。
もしかしてやめたくないとでも声を荒げれば良かったんだろうか?うーん、でも"白蘭"にしても"灰崎祥吾"にしても柄じゃないよね。それにそこまでするほどバスケ部にいたいわけじゃないし。
あーあ、何か面白くならないかといろんなものを奪ってみたり手を出してみたけど──結局何も得られないままだった。残念だなぁ。
まあでも、いずれ黒歴史になるだろう彼らの青春を間近で見れたのは楽しかったかな。思わず吹き出しそうになるのを何度抑えた事か。となると、ここはそれなりに楽しい場所だったのかも──執着するほどでもないけどね。
「別に良いんじゃね?お前もその方が気楽だろ?」
「灰崎…」
「じゃーな」
中には見抜きそうになった子もいたけど、結局外見通りの性格しか見抜けなかった帝光中にもはやいる意味もないしね。
「あーあ、彼らみたいに楽しませてくれる子っていないのかなぁ」
ユニちゃんや綱吉くん、桔梗たちみたいな子たちってどこかにいないのかなぁ。そしたらもっと楽しくなるのに。
満たされぬ強欲
(バスケやめたし、次は何しようかなぁ)
-----------------
蒼蛇さま、この度は企画にご参加くださりありがとうございました。
リクエスト内容の変更もありがとうございます。ご迷惑をお掛けして申し訳ありません。
リクエストは『復活の白蘭が実は黒バスの灰崎に転生して〜』との事でしたが、どちらかというとキセキよりも復活組に興味が向いてる様な……すみませんorz
この先彼はいづれ復活組と再会しそうだなとか思います。
しおりを挟む