01、

 彼氏が今夜は、夜勤らしい。

 ミミューは彼氏ことガイの住家を、まるで我が家のように悠悠自適にのんび〜りとしていたのだが突然の夜勤の為に晩飯の用意を考えてなかった。本当なら二人で簡単に食べに行くつもりだったのだが。

「というわけで留守番頼むよ。ちゃんと出来るよな?」
「あーい、できましゅよー」

 わざと子どもっぽい口調で答えると、ガイからの失笑がまずは返ってきた。それから、ガイは車の鍵のリング部分を指先に引っ掛けてくるくると回しながら尋ねかけてくる。

「晩御飯どうするんだ?」
「うーんそうだなー。……あ、創介君誘っちゃお!」
「……またそいつか。お前なぁ、向こうは高校生だろ? あんまり教育上良くない上に向こうだって何とも思わないのか、その、年齢差っていうかさ……話も合わないだろうし。俺は職業柄ってのもあるかもしれないけどあんま好ましい付き合いだとは思えないけど」
「あっ。何それ、嫉妬してるー? だーいじょうぶだよー、創介君ったらちゃっかり相手持ちだししかも一途だから!」

 まあ、多少そんな風な調子が混ざったのかもしれないけれどとんでもない。割と本気で言ったのにも関わらずに、ガイの杞憂はミミューの笑顔と共にあっさり却下されて終わらされてしまった。

 ガイはやれやれ、といった具合に肩を竦めつつそれから言った。

「いや、まあ……うん。しかしどうかな〜、向こうにその気がなくてもミミューが心配だな。お前、若い子好きだから」
「あっはは。ガイも十分若いよー、僕から見れば!」

 ちょっとした嫌味のつもりだったが、持ち前の回避力であっさりとかわされてしまう。こういうところは、やっぱりいくら童顔でたまに幼く見えようが大人なんだろうなあ、とガイはつくづく感心してしまう……。まあ、友達付き合いまで制限してしまってはアレだ。今世間でやたらと耳にする『モラルハラスメント』という事態を招きかねない。あまつさえ、それを口実に職場(警察署、生活安全課。元自分のいた課である)に駆けこまれたとしても困る。

――やりかねないな、ミミューなら……

 想像してちょっとひやっとしたところで、ガイはのんびりと話をしている暇もないと腕時計を見た。

「あっ! やばい、遅刻なんかしたら大変だ。じゃ、またっ!!」

 慌てた様子で、ガイは家の鍵をポーンとミミューに向かって放り投げるとミミューが慌ててそれをキャッチした。

 受け取る際に寝転ぶ姿勢になってしまったので、ミミューは足でスマホを手繰り寄せると(まっ、お行儀が悪い事!)画面をちょいちょいっと指タッチで操作しながらLINEを立ち上げる。

「創介くん、創介くんはどーこだーっと!」

 トーク履歴を表示して創介にメッセージを打ちながら、ミミューは先程自分で吐いた言葉についてちょいと考え事をしていた。

――相手持ちで一途……う〜ん、実はそれもちょっと気になってるんだよねー。今日ついでに確認してみようか……という事はセラ君は呼ばない方向になるね

 何だか創介単独で聞きたい事ばかりありすぎるのでしょっちゅう彼と二人になる事が多いのだが、まあミミュー自身セラと二人きりというのにやや話慣れていないというのもあるし創介がいじりやすいキャラっていうのもある。いい大人が言い訳するわけじゃないが、つまり二人の進展について聞き出すには創介の方が話し易い!……以上。





時間軸がまたもや曖昧な話だな。
インテグラルのその後だと思ってほしい。



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