5月21日:
今日からブログを始めてみる事にしました。
私なりに第二の人生と言うものを楽しみたく思い、
無い頭をひねって考えた結果がこのブログという答えでした。
人の人生が八十年だと言うのなら、
私は今日でその約半分以上を歩んできたということになります(^^)
振り返って見て色々と波乱の多い人生だったな、と我ながら思います。
あと半分、楽しい事ばかり……とは行きませんが、
それなりに人並みの幸せを掴んでいけたらなと思います。


6月1日:
雨ですね…。じめじめとしていて嫌な気候です(;;)
今日は私の半生について少しばかり語って見ようかと思います。
と言っても文才も何も無い平平凡凡な主婦ですから、
面白味の無い日記になると思います。ご了承くださいね。

最近は晩婚化等と囁かれていますが、
私も結婚をしたのは当時では遅い方でした。
遊んでいる方や仕事が充実している方はそのくらい当たり前なのですが、
私はこれと言って趣味も無く、
夜遊びもしなければ酒に溺れる事も無い真面目な性格でした。
過保護な家庭に生まれたせいもあってなのか、
恋愛事には疎く、学生時代は勉強に打ちこみ
周囲の方々とはほとんど打ち解けていませんでした。

そんな私ですが勿体ないくらいの素敵な旦那様と出会い、
盛大な式を挙げ、一人息子も授かり順風満帆な生活を送っておりました。
夫は女の子が生まれたら
『信乃』(しの)と名付けるのだとはしゃいでおりました。
夫の好きな、里見八犬伝の主人公から取った名前だそうです。
が、結局生まれたのは男の子だったので
その時の落胆ぶりといったらなかったです。
男の子でもいいじゃないかと言うと夫は
「響きが女々しいから」と言って渋りましたが、
本心ではその名前に愛着があり、息子の名前は『信乃』となりました。

なにぶん初めての子育てで、
色々ありましたが、信乃は本当に愛らしく、
天使のようでした。
この子の笑顔を守る為なら、何だってする。

夫も同じ気持ちでいたはずなのです。

しかし、ちょっとのすれ違いがやがてつもりにつもって
私たちの溝を深めて行ってしまいました。
夫とは顔を合わせる度喧嘩を繰り返し、口論の末、離婚となりました。
ですが、不思議と後悔は無かったのです。
それもこれも、信乃がいたからだと思います。
母の思い通りに育ってくれた信乃が
何よりの誇りであり、そしてこれからも生き甲斐なのです


6月6日:
沢山の反響やコメント、ありがとうございます。
息子は今、高校生になったばかりです。
反抗期も迎えず、非行にも走らず、
成績も優秀な真面目で親孝行な息子です。
高校へは、親に心配をかけまいと
都立の入学するのが難しいと言われる高校へと見事合格。
つくづく誰に似たのか不思議になるほど、よく出来た子です。
今日も仕事で疲れたと愚痴る私の代わりに
買い物へ行ってくれました。本当に、良い子です。


6月8日:
こんな何も無いブログなのに、
多くのコメントや、
応援のメッセージを頂けるのがとても嬉しいです。



もう私は一人じゃないのですね。



信乃は私の誕生日も覚えてくれたみたいです。
高校から帰るなり、恥ずかしそうに小包を手渡してくれました。
包みを解くと、中身はちょっと若すぎるデザインの、
銀色の指輪が出てきました。

おまけに私の指には合わず、ぶかぶか(笑)。

信乃はしまった、と言った感じで気まずそうにしていましたが
その様子も大変可愛く思えて、
思わず「いいのよ」と言って頭を撫でてしまいました。
この歳にもなってさすがに頭を撫でるのは、無しでしょうか?(笑)


でもね、信乃。私の誕生日は先月よ。


とは言えず、胸の内に閉まっておく事にしました。

また、明日。


6月17日:
アクセスランキング、
何と3位にまで行ってしまいました。ビックリです。
一時的なものでしょうが、驚きました。
素直に、嬉しいです。
皆さま、ありがとうございますね。

報告というか、ちょっとショックな事。

信乃の部屋を掃除していたら、煙草の箱を見つけました。
本当に、本当に、ショックで、食事が喉を通らなくなりました。
これが嘘だと言ってくれるなら私は何だってするでしょう。

幸い?にも煙草はその一箱だけで、
中身を開けた形跡はありましたが、
一本だけ吸っただけのようで常習的なものが感じられなかった事。

ならば、今ならまだ間に合う筈。

私は煙草を信乃の部屋から持ち出し、今手元に隠し持っています。
どうしましょう。


7月2日:
長らくの更新停滞すみません。
多くの人から、ご心配のメールや、
信乃についてのメッセージが届きました。

大丈夫です。

信乃とはうまくやっております。

あれから、信乃に問いただすと信乃はごめんなさい、とだけ言い、
もう絶対にやらないと誓ってくれました。

信乃の言葉ですもの。
信じない訳がありません。
たった一人の息子ですからね。


7月7日:
どうも、信乃は恋をしているようなのです。

様子が、おかしい。

この前くれた指輪だって、
きっと本当ならその相手の娘さんに
プレゼントするものだったのかもしれません。

それが結局、迷って渡せなかったのか、
それとも渡したはいいけど気の強い娘さんで、つきかえされたのか。

信乃は真面目な子ですし、
私に似て色恋に対してはとても控え目だと思います。
今まで恋らしい恋なんてした事も無さそうですし、
相手が悪い子だとして、
もし騙されてしまってはどうしようかなんて思います。

お節介なのでしょうか?

自分が、こうやって旦那と別れた経験の持ち主だけあってか、
口を出さずにはいられないのです。

幸せになって欲しいのです。
短冊に書く願い事はといえば、勿論信乃の幸福です。


7月20日:
信乃はこのところめっきり塞ぎこんだ様で、
元々静かな子でしたが更に静かになり、口を利いてくれません。
私が何か尋ねれば言葉を発さずに、うん、もしくは、いいえ、とだけ
首を振る事で答えてはくれます。
けれども、ほとんど目を合わさずに
そのまま部屋にこもりきりになってしまうのです。

まさかとは思うのですが、例の恋の相手が要因なのでしょうか?

叶わぬ恋に落ち込んでいるのか、
もしくは行動に出て敗れてしまったのか。
考えは尽きませんが、
あんなに優しく朗らかとしていた子がめっきり笑顔を見せなくなり、
本当に無口になってしまったのです。もはや別人のようなのです。

…親としてこういう時どうしたらいいのか分かりません。
深く追及していいものなのでしょうか?
何か、触れてはならない部分に触れてしまいそうで恐ろしいのです。

同じような境遇の方がいましたら、是非とも、ご教授願いたい。


8月3日:
様々な励ましの言葉やアドバイス、有難うございます。
全ての言葉に目を通し、何度も何度も読み返しております。

信乃はやはり何かに悩んでいるようで、
それが恋の事なのかはどうかは聞かずに、
先日それとなく問い掛けてみたのです。

「何か悩んでいるの?」、と。

信乃はやはり何か言いたげでありましたが
静かに目を伏せて何も言ってはくれなかったのです。
唇を引き結んで、信乃は背を向けると部屋に駆けこんで行きました。

信乃のあの、何かを訴えたいのに切り出せない表情から、
ある一つの不安が脳裏をよぎりました。
勘のいい方ならばすぐに想像がつくでしょう。

そうです、イジメ。

信乃はどちらかと言うと大人しい内気な子ですから、
イジメっ子たちからすれば都合のいいターゲットでしょう。

……決めつけるのは良くないですよね。
もうしばらく、様子を見てみたいと思います。


8月10日:
先日からアクセス数が物凄く、
数を見る度に、多くの方に支えられているのだと強く思います。

恐れ多い事に、
このようなブログにも世間で流行っている「書籍化」の話が来たのです。
……こんな愚痴ばかりの日記、いいんでしょうか?(笑)
しかしながら、同じような立場にいる主婦や
女性の方の少しばかりでも支えになれるかと思うと、
それも悪くないかな、と思えるようになりました(^o^)

以前同じ事をした時に
皆さまから「止めろ」と言われたのにも関わらず、
息子の部屋を勝手に片づけました。

正直、未だに心の整理が付きませんが、書きます。

息子・信乃はどうも、同性の方に恋をしているようなのです。
相手はどうも先輩のようです。
背が高く、男女問わずに人気のあるかっこいい方だそうです。

…異常でしょうか?
わたくし自身確かに恋愛の経験の乏しさゆえ、
恋に関しては教えられなかった事が多々あります。
ですが、あまりにも、これでは酷ではないでしょうか。
偏見があるわけではないのです。
しかし、世間ではそんな方々が軽視され、侮蔑されているのが現状。
そんな中で息子が生きて行く事を考えるとなると、
親としては少々心苦しいのです。

どうやって息子と向き合えばいいのか、分かりません。

8月25日:
長らくの間、顔を見せずにすみません。

息子と、話しあいました。

皆さまから頂いたお言葉や、
ご意見を参考にしつつ、
ただこれだけは私の本心として変わらない事だと言う事。
例え、信乃にどんな事があろうともそれは信乃の決めた事だから、
私はそれを咎めたりしないし引きとめもしない。
あなたが、あなたの思うように生きなさいと伝えました。

そして何よりも貴方には私だけじゃなくて
こんなにも沢山の支えがあるんだと言う事。

涙ながらに言うと信乃もその場に泣き崩れました。
私の気持ちが少しでも伝わったのかな?
信乃は何も答えずに只ひたすらに泣きじゃくっていたので、
言葉は聞けませんでしたが、
きっと、私や、皆さまの温かい気持ちが通じたんじゃないかと願って。

神様、ありがとうございます。

信乃という息子を授けてくれて。

七夕の願いが叶ったみたいです。皆様の願いもどうか届きますように。










――思えば違和感はあったのだ。
 信乃は入学式の日の事を同時に思い返していた。
 生徒会長で、背も高くて爽やかな笑顔の先輩。当然人気もあるし何せ相手は同じ男だ。遠くから眺めるだけの、よくある純情な恋。それだけで良かったのに。

 信乃は生徒会に入り、少しでも先輩と親しくしたかった。けど、本当にそれだけで良かったのだ。何の下心も何も無い――先輩の誕生日、信乃は先輩に何かあげようと思い立った。先輩の好みそうなシルバーの指輪を購入したものの、やはり周囲の目を気にしてかあげないで、母親にあげてしまった。

 ある日、先輩は普段は優等生なのに、影でこっそりと煙草を吸っているんだと知った。

「誰にも言うなよ。口止め料」

 いたずらっぽく笑いながら先輩が煙草の箱を差し出して来た。

「い、いやいいですよ!」
「ものは試しに一本吸ってみなって。初めはちょっと頭くらくらしてきついけど、ハマると楽しいんだ」

 結局吸わないと押し通してしまったが、先輩といつかはここで二人で授業をさぼりつつ……なんてくだらない妄想をしてしまった。その日の帰り、友人に頼んで妄想の延長線上で煙草を一箱買ってみた。一本吸ったけど美味しさが分からず咳き込むばかりで、叶わぬ妄想となった。

 次の日学校へ行くとニヤニヤした同級生たちから話しかけられた。

「優等生のお前が煙草かぁ。へ〜」
「……、え」

 買いに行ってもらった友人がばらしたものだと思い問い詰めてみたが、知らないと否定された。そんな訳が無い、じゃあ何でばれるんだよ――お前以外、いないんだよ。

 信乃はその時こそ小さな違和感だけで、友人がうっかり口を滑らせたのをごまかしているのか或いは忘れているだけなのだと思っていた。

 煙草の件は母親にもばれて、それから何となくだけど母親とは距離が出来た。喋りたくなかった。目を合わせればあれやこれやと聞かれる気がして、極力母を避けた。心配性で、打たれ弱い母なのだ。これ以上余計な心配なんてかけさせたくなかった。

 そんな事があって何日も経過してきた頃。これまでの信乃のどこかに引っかかっていたような不安が何だったかを知る事になった。クラスメイトが半笑いで近づいて来たかと思うと、携帯電話を手渡して来る。

「何?」

 クラスメイトがにやにやとしながら画面を指差した。見ろ、という事なのだろう。嫌な予感に後押しされながら画面を覗きこむと、そこに映し出されたのは他人のブログだった。

「……え?」
「そのブログに出て来る信乃ってお前?」

 まさか、と思いながら画面をスクロールさせていく。

「書籍化だって? おめでとう」

――こんなの……

「……嘘だ」

 自然と携帯を持つ手が震えた。これが人様の物でなければ今すぐにでもこの携帯を放り投げていたに違いない。

「な……なに、これ」
「しかし信乃がホモだったなんて知らなかったわ! 背の高い先輩つったら生徒会長? うわー、そんな目で見てたのか」
「知らない……違う、違うよこんなのは!」

 なりふり構わずに、絶叫していた。周囲の好奇の目は次第に蔑みの視線へと変わって行く。

「――僕を見ないでくれ……お願いだよ」

 その日、どうやって自分の足で家路に帰ったのか覚えていない。母親にはきっと一切の悪気はない。それどころか、父に出て行かれたきり、子育てに追われてばかりで人並みの楽しみや幸福をほとんどと言っていいほど知らない母にとって、きっとこの場所が今一番の安らぎの場所なのだ。

「信乃」

 母の優しい声で迎えられる。

「貴方の生きたいように生きなさい」

 母は悪くない、ああ、ちっとも悪くない――……こんなに優しい人から唯一の居場所を奪おうなんて自分には無理だ。

 信乃は悲しく笑った。

「貴方は一人じゃないのよ。お母さん達がついているからね」

――そして僕の居場所は、もうどこにも無いのだろう 








誤解なきよう言いますけど
こんな話ばかり書いてますけど黒井家の
家族仲はそりゃもう良好ですぞ
休日は買い物やらランチに行きますぞ。
いやマジでマジで

ちょっと前に、夫婦がブログをして娘の成長記録をつづるんだけど
そのせいで娘のプライバシーがだだもれになっちゃうっていう
ブログを見て(結局創作だったみたいですが…)、
何だか異常にもやもやしたのがきっかけで思いつきました。

創作話に限りですが
人の善意が裏目に出てしまうとか
誰も悪くないのに…とか
あのやるせない感じに浸るのが割と好きです








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