人が何ていおうが関係ない、とにかく俺は俺のやりたいようにやるだけだ!……と、とにかく自分の欲望に忠実だった。

「ろくすっぽ女の子ちゃんも口説けねぇとはどいつもこいつもチンチンついてるとは思えないくらいの腰抜けぶりよ……近頃の男共は何でそうなったんだ? ていうかこのクラス全員がそうだぜ、女々しすぎ! 自分大好きな奴ばっかで守りに入りすぎ! 大体お前もだぞ、チェリー兄弟長男」
「誰だよチェリー長男って……え、俺か!?」
「こうナヨっとした奴ばかり溢れかえっているとさぁ、本物の男ってのを見たいもんだなぁ。こう男気があってさー、野性味溢れる今時珍しい男子を……」
 どこかに俺を唸らせるような男らしい野郎はいないもんか、と創介が腕を組んでクラス中を見渡している時であった。
「おい」
「……ふぇ?」
「――お前、今日の放課後面談な」
「!?」

 突如としてその宣告を突きつけてきたのは――担任のサージェント先生である。通称、鬼軍曹。
 その通り名に恥じぬよう見た目も威圧感があって恐ろしい。
 何か総合格闘技でもやられているのではないか、というくらいにガタイもいいし背丈も創介より全然高いし、まあとにかく生徒から舐められる事はないんだろうなって感じの教師だ。

 というか教師とか言われなくちゃ普通に怖い、街中ですれ違ったら怖すぎる。

「め、面談っすか? 何の?」

 えへへ、と愛想笑いを振りまきながら創介が尋ねるとサージェントはやや振り返りながらこちらはニコリともせずに言い放った。

「決まってるだろう、お前の成績と今後の話だ。真剣な話し合いだぞ、逃げたら先行き無いものと思え」
「ヒェッ……」

 本人にそのつもりはないのかもしれないが、睨み飛ばされてしまい創介はビビリ散らして竦み上がるのであった。

 彼から解放されてようやく全身の力が抜けていくのが分かり、いかに緊張していたのかを知らされた。

「こ、こえ〜……さっしー(※あだ名)マジ怖ぇよ……、武藤と並べても見劣りしないわあれは……」

 苦笑いと共に凛太郎へと向き直ると、凛太郎はやや冷めた目で創介を見ていた。

「偉そうな事言っておいてビビってんの。だっせー」
「……、そういやあ、あの担任は男らしいな。見た目も中身も」

 思い立ったように創介が言うと、凛太郎が小首を傾げた。

「……え。そうかなぁ。見た目はやり手っぽいけど中身はそうでもない気がするんだけど、俺の中の何かがそう告げてる」
「いや、あれは絶対遊んでるよ! ほら、奥さん亡くしてバツイチだって聞いたし。今頃入れ替わり立ち替わりで女とっかえひっかえだってアレは。あの面構えは相当できるな! ちょっとテクニックを伝授してもらいにいこうかな」
「……いや〜……」

 が、やはり凛太郎は腕を組んだまま顔をしかめっぱなしであった。創介は焦れたように立ち上がると何か決起したみたいに言うのだった。

「分かった! じゃあ俺は今日の面談でそれを証明してみせるからな! あいつと親密になって色々聞き出してやっちゃうぞ!」
「は?」

 話の方向性があらぬところへ行ったものだから凛太郎も目を点にするより他無い。流石にちょっと、と凛太郎が止めに入る。

「い、いや何か……別にそこまでやんなくとも。ていうかお前の進路がかかった話し合いなんだろ、変な事して卒業を棒に振るのは……」
「大丈夫! 俺こういうのは超上手いんだから! 仲良くなってついでにあれこれ大目に見てもらおーっと」

 いやいや、と凛太郎が言葉を被せようとしたが確かにこの創介という男、一筋縄ではいかない人物なのを凛太郎はよく知っている。
 自分も過去に何度かコイツに「すんませーん」と笑顔で頼まれればハイハイ、と応じてしまっている事があったりなかったりでその都度後悔させられてしまうのだ。

「……恐ろしい野郎だ……」

 と、言ってから凛太郎はどこかの誰かさん、もとい血の繋がった弟を思い出したがそういえばアイツは今どこをうろついてるんだろうか? 
 またいつものように、ふらふら校内を徘徊してるんだろうか。変な奴。




武藤といえば、
うちの会社にもそっくりな人がいて
マジ怖いですよ
スキンヘッドだし190近く身長あるし。
中身はめちゃくちゃいい人なんですけどね
初対面はすげーびびるw



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