12-3.生存者達は笑う



 そんな中へと、避難所にいた子ども達が駆け寄ってくるなり夢々を指差した。

「ああああ〜〜! 女剣士だ〜〜!」
「勇者だ! 勇者、勇者! おねーさん、何であんなにつえーんだ!? モンハンみたかったぜ!」

 無邪気な子ども達は、そんな夢々を見ては爛々と目を輝かせ始めた。微笑ましいその光景に夢々も思わずほっこりと顔を緩ませたが、続けざま現れたのはヨボヨボのお爺ちゃんであった。

 お爺ちゃんは曲がった腰をせいいっぱいに伸ばし、ビっと敬礼をしながらはきはきとした口調で言うのだった。

「女剣士どの! 先程の戦いぶり、見事でございましたぞ! 我々が前線でお国の為にお仕えしていた時代を思い出し、この身が熱くなりました!」
「えっ、そ、それほどではぁ……」
「その剣の腕前、一体どこで磨かれたのでしょう!? ワシも久方ぶりに血潮が騒いでしまい、貴譲のように刀を振るってみたい! 女剣士殿、是非ともこの老骨にその秘訣をば〜!」
「う……どうしよう、何だか今更になって恥ずかしくなってきちゃったわ……」

 その隙を見計らい、崇真がこそこそと夢々から距離を取っていくのだった。忍び足気味に離れてゆくと、そんな彼に近づいてくるのは一足先に戻っていたのであろうマツシマだった。

 不意に顔を上げると、何か言いたげに少し距離を開けて立っているマツシマと目が合った。崇真も崇真でそれを見つめ返すものの、しばしの間妙な沈黙が訪れてしまうのであった……。



 

「それで……」

 サージェントが、視線と共に話を戻す――「あの縛られている女が襲撃者だったんだな?」。

 湊が顔を縦に頷かせた。

「泣いてて、全然話にもならないけどね。初め、あいつは言ったんだ。ここへ来た目的は……」

 静かに言って湊は、視線を母親と抱き合っている林檎へと動かした。

「野々宮だ、……って」
「――何だと?」

 サージェントが眉根をひくりと上げた。シノも不思議そうな顔で、バブの頭を撫でながら湊を見上げた。

「野々宮さえ渡せばいいんだと話して、ここをめちゃくちゃにした。今それを聞いても、あんなふうに泣いて口を割ろうともしない。きっと俺達を全滅させる自信があったんだから言ったんだと思うけど――」
「ふん……」

 いまいち腑に落ちないサージェントだったが、とりあえず煙草に火を灯す。

「おじさん?」

 ぼんやりと何か考え込むサージェントだったが、シノが問いかけると、突如思い立ったように足を動かし始めた。

「そんなら身体に聞くまでだろう、お前らは誘導尋問のやり方も知らないのか」

 何だか空恐ろしい事を言い、サージェントは吸いかけのその煙草を傍らの灰皿へ押し付けるのだった。





何かシャークネード借りちゃったんだけどw
アルバトロスか〜これ〜


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