銃床を切り詰めたそのショットガンを構え、サージェントは咥え煙草のまま下のポンプを動かした。すぐにそれは完了し、次弾が装填される。そしてサージェントは臆する様子もなく、死者の群れを見据えた。
「……なんだ、仲間がまだいたんですか」
チッ、と鴇田が舌打ち交じりに呟いた。
「ですが雑魚がいくら増えようが私の手間が少し多くなるだけで、所詮は烏合の衆も同じ事。――下僕ども、こいつらを食い荒らせッ」
穂邑が悔しそうに砂場を叩く。
「くそ、俺も満足に戦えたら……」
「いや、先生。俺達だけで十分」
マツシマが言い、またにやりと狡猾な笑みを浮かべる。
「何をぶつぶつ言っている! あの男がゾンビを封じていようが、私がお前らを――」
その後を聞くよりも早く、だった。小銃の弾丸がうなりを上げて飛んできたかと思うと、鴇田の右肩辺りを貫通し赤黒い血が飛び散った。
鴇田がそれで、信じられないような顔をしてその場に足を止めた。
「……なっ」
「その傷は――、門倉にやられたか」
ショットガンを下げながら、サージェントがそう呟くのが聞こえた。鴇田が肩口を押さえながら、今しがた銃弾の飛んできたであろう辺りを血走った眼差しで愕然と見つめた。
「くそ、狙撃手か……ッ」
忌々しそうに呟いた先、屋上でスコープの光がきらきらと反射するのが見えた。位置のめぼしはついたが、まさか狙撃手まで用意してあるなどとは思いもしない。
「なるほど、中々の腕前じゃあないか」
サージェントが素直に感心するような声を漏らした。
「こんな風に見晴らしのきく場所は、狙撃手からすれば狙いやすいからな。……どうだい、自ら死に場所を引き当ててしまった気分は。お前が指定した場所だぞ、生憎だが」
続けざま発されたサージェントの言葉に、鴇田が今しがた受けた銃撃とはまた別の感覚に、顔を歪めるのが分かった。
「……ふ、ふ……コケにしてくれますね――何とも、まぁ……」
「はっ、どーだっていいけどお前の相手は俺なんだぞ。よそ見してんじゃねえって」
マツシマの挑発は依然続けられた。
何とか立ち上がろうとする穂邑の元へ次いで駆け寄ってくるのは、修一と、見覚えの無い少年。そして白銀の毛並みを持つ大型の犬だった。
「ほ、穂邑先生〜!」
修一が駆け寄ってきて、満身創痍の穂邑へと近づいた。すぐさま腰を降ろすと、肩を貸してやる。穂邑にとっては見知らぬその少年――シノも心配そうにこちらを見つめている。
「大丈夫?」
「あ、ああ――っと。君は……」
「僕はシノ。こっちはバブ。そして、あっちはおじさんで、こっちはマツシマさんと……」
丁寧に紹介を始めるシノに、穂邑がぽかんとしていると修一が立ち上がるよう促した。
「先生、しっかりして下さい。すぐに避難所にまで引き返しますから」
「……っつぅー……、くっそ、全身ボッコボコだ……」
何とか立ち上がる事が出来たので、穂邑は修一の肩を借りつつ少しずつ歩き始めた。
投票率が少ない状態であれこれ決定するのが
何か一番マズイような気がします。この国。
ミンスもジミンも期待できねーよ! っていう意味で
どっちにも投票せずに受かる気配のない党に入れるとか
そういう意思表示の方がまだいいような気がするけどどうだろう。
あれ、真面目な話してるよ黒井が。熱でもあるの?
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