03.
 そしてこの二人、成績も似たり寄ったりで、というかややヒロシの方が優勢だろうか? とにかく何でもそつなくこなしちゃう奴で、却って嫌味すぎるくらいだ。おまけにキレーもの好きの女子にはコアな人気があるし、四歳の頃からフルコン空手をやっているお陰なのか腕前も中々だそうで、有名人なので他校の追っかけみたいのもいる。性格は、まあ、ちょっとアレですがモテてモテてしょうがないのも頷ける。

 でもかっこつけてるけどまぁ多分こいつ童貞なんだろーな、とノラは密かに思っている。どうでもよい話だが。

――けどほんとにいるんだな〜、こういう漫画のキャラみたいな奴って……

 と、ノラがヒロシの背中を眺めながら考え込んでいるとユウはそんな無愛想ヒロシにまだ何か絡んでいる。

「俺、ボーリングは負けないよ! 中学ん時結構やってたからねっ」
「……僕も負ける気がしませんね、生憎ですけど」
「おお、じゃあ勝負だよ勝負!」

 そしてそんな正反対に見えて、何気に会話の合っている二人を見て面白く無さそうな顔をしているのが……。

「……」

 ミイはちらっとそんな二人を一瞥し、さも興味ありませんといった大人の装いを取り繕いながら一時間目の授業の準備をし始めたのであった。

「……うんうん。なるほどー」
「何が?」
「うぉっと石丸君ってば。背後に立たないでよ、ビビるじゃない」
「さっきからいるっての、ノラ、お前何一人でニヤついてんだ?」
「えー……内緒。ってかお前、煙草くせっ。それちょっとヤバイよ、ダースーに見つかったらまた指導室コースだぜ」
「え……そんな臭うか? 消臭スプレーぶっかけたのに」
「指導室でダースーに掘られるんだぜ、多分」
「やめろよマジで、あいつはシャレにならないんだよ……」

 ダースーこと教師・須田は、前々からホモの噂がある男性体育教師だった。何故そういう噂が広がったのかいまいち発信源ははっきりとはしていないが火のないところに煙は立たず、と言ったもので何かと信憑性のある目撃談等が囁かれている事が多かったりもする。夜の街に若い男の子と消えていっただとか、男子生徒にやたら触るだとか、仕草がおねぇっぽいとか、あと何よりいい年齢で見た目も別に普通なのに未だに独身であるだとかで。

「ダースーはあれだね、女買うより男を買う方が高いってのをよーく知ってたりするんだよ」
「ノラ、お前そういう発言は本当に控えておけ」

 何故か石丸に真剣な顔で叱られてしまった。似合わない顔しちゃって、とノラは変顔をさせて返しておくのだった。


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