*……*……*……*……*


 アイテム補給のため立ち寄ったバイゼルの街は、誕生祭一色だった。
 街の木々は色鮮やかなオーナメントで飾り付けられ、各家庭の入り口や窓際にも、装飾が施されている。
「もうすぐ誕生祭でち。」
 そんな道の真ん中を、スキップをしながら進むシャルロット。世界を救う旅をしているとはいえ、彼らはまだまだ子どもだ。ケヴィンを巻き込んではしゃいでいるシャルロットを優しく見つめる仲間の顔には笑みが浮かんでいた。
 ホークアイ以外は。
 街に入ったときから、彼の様子は少し変だった。やたらと周りを気にしている。
「あの、どうかしましたか?」
 しきりにキョロキョロする彼の目の前でリースが声を掛ける。すると彼は少し困ったように笑う。しばらくそして大変聞きにくそうに尋ねた。
「ねぇ、何か祭でもあるの?」
 すごく真面目に聞いてくる彼に、その場にいた全員が返答に困った。どうやら冗談で言ってるわけではなさそうだ。
「お前誕生祭知らないのか?あれだよ。マナの女神が――」
「それくらい知ってるよ。女神様がウェンデルに降り立った日を祝う式典だろ?」
 デュランの回答に、馬鹿にするなよと答えるホークアイ。確かに誕生祭というもの自体は知っているようだ。
「じゃあ簡単じゃない。これは誕生祭の飾り付け。」
 近くの飾り付けられた木を指さしながら、アンジェラはそう説明した。それを聞いて、ホークアイは意外なことを聞いたかのように驚く。
「あの、もしかしてホークアイさんは誕生祭を祝ったことないんですか?」
 ホークアイの反応にリースが問いかけると、案の定彼は大きく頷いた。
「ナバールではこんな祭はなかったな。その日生きるだけで必死だったからね。一応誕生祭は祝うけど、祈るだけ。近くの村でもこんな飾り付け見たことないよ。」
 所変われば文化も変わる。そういって街の飾りを見る彼の表情は、子どものように楽しそうだった。
「じゃあ、今年はみんなでお祝いしましょう!」
 リースはそう言うと、デュランに同意を求める。もちろん、彼が断れるはずもない。
「分かったよ。羽目を外さない程度にな。」
 やったーと後方から何故か声が上がる。何時の間にか戻ってきたシャルロットとケヴィンだった。
「シャルロットが誕生祭教えてあげるでち。」
 2人はホークアイの手を引くと、街の中へと連れて行った。
 その後ろ姿はなんだか楽しそうだったので。
 プレゼントくらいあげようかなとリースは密かに心に決めた。



 誕生祭まであと一週間。





*……*……*……*……*end

『Fairy Tale』宝珠 瑠璃様宅で開催されていた、Christmas企画2008の第三弾のフリー小説を頂いて来ましたv

以外に誕生祭の祝い方を知らないホークアイ。
確かにナバールはそうゆう感じですよね。
文化は国によってそれぞれですね。

誕生祭を教えてあげようと張り切るシャルロットが可愛いですv

街の飾りを見て楽しそうなホークアイを見て、密かにプレゼントをあげたいと思うリース、今後が楽しみです☆

宝珠様ありがとうございました♪

2008.12

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