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夢はあまり見たくはないと思っても結局こればっかりは無意識下のことで修行だ何だのしたところでどうしようもない。ただ今日は偶然それを見る事はなくて、安心して眠っていたのだ。だというのにこの不快感は一体。目を瞑りながらも私は今現在の素直な気持ちを伝える為に口を開く。

「暑い」

まったく身動きが取れない状態に一瞬金縛りかと思ったけどどうにもそれは違うみたい。
目をうっすらと開きながら身体は動かさずに視線だけを右方向に動かせばすうすうと静かな寝息をたてている美少女が私の肩に頬を擦り寄せて眠っていてギョッとした。細い肩が、無防備な胸元が、ほんのり赤い頬がとても魅力的で私が男だったら間違いなく盛っていただろう。ああ可愛い。

…となると、だ。
 
嫌な予感がしながらも今度は逆の方向へ。後は二択。どうにも危ない方向じゃありませんように。

「…もう起きたんですかー?」

賭けは勝った。勝ったけど、どちらにせよハズレには違いなかった。
もう片方が寝ている事を考慮して言葉なく静かに頷くと声の主はそれを察したのか同じようにふむ、と漏らした後、彼もまた私に擦り寄った。心無しか私の背中に女の子の柔らかな胸が当たっているような気がしないでもない。あれ、起きてる…?

「暑いんだけど」

訴えてみたもののどうにかなるなんてこれっぽっちも思ってもいない。
気が付けばちょうど私の胸のところ辺りにエメラルドグリーンが顔を押し付け再度寝ようとしているところで、抗議の声を上げようにも足まで絡まされているわ後ろからもぎゅうぎゅうと抱きつかれているわでもうどうしようもない。
文句を言ってやろうかと思ったのに次の瞬間には穏やかな寝息。え、ちょっと寝てるんだけど。え、後ろの人も寝てるの。
布団より何より体温が一番程よく温まる。がある一定をすぎればそれはいじめかと思えるぐらい暑いし動きも完全に封じられたし、……もういい、考えているのも何だか疲れてしまった。朝起きたらシャワー浴びよう。そうすればいい話だ。

「おやすみ」
「「おやすみ」」
「…やっぱり起きてたのね」
「「……」」
01.暑く気怠く始まりましょう。

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