Diary

最近どうやらユキは千種と仲がいいようだ。
あまり気にしたこともなかったがそういえば犬といるより、千種と共にソファに座っていたり、事もあろうに彼女の髪の毛を乾かしている姿も、よく見られた。
何なら今、無防備にソファで昼寝をしている彼女に毛布をかける姿まで現在進行形で目撃していてそれが気にならないといえば嘘になる。

「微笑ましい反面、何とやらですかね」
「骸さん羨ましいんれすか?」
「…クフフフフフフ」
「きゃいん!」

容赦なく両頬を伸ばされ鳴き声をあげる犬に、千種が驚くほど鋭い視線をこちらに向ける。
僅かばかりに向けられる殺意に驚いてしまったがどうやらその全ては騒音の原因である犬だけに向けられているようで。
ライバルは意外と身近にいるのかもしれない。

「骸さま、こちらへ」
「どうしました?」

千種に呼ばれ何事かと思えばどうやら自分の中心にいるユキは骸の制服をしっかりと抱きしめたまま寝てしまっている様子で。
それを引き離そうと千種が苦戦した結果彼女の体を温めて自分から離させようという北風と太陽作戦をした挙句、失敗に終えてしまったらしい。

「…皺が」
「構いませんよ。最近彼女はどうやら僕のことを避けているようでしてね」
「…ユキが?」
「ええ」

穏やかな彼女の顔を最近は見たことがない。
何かを考えているような、思いつめているような。それが自分の所為であるねらば少し距離を取ろうかと思ったが結局そんなことは出来やせず。

「気のせい」
「?」
「だと、思います」

それだけ告げると千種はふらりふらりと部屋を出てしまった。取り残された骸は、ソファの下に腰を下ろしユキの顔をまじまじと見た。
汚れを知らない彼女は、自分には少し眩しすぎる。
この娘に劣情を抱いているだなんて彼女に知られたら一体どう思うだろうか。
そんなことを考えているだなんて知らないユキは寝返りを打ち、骸の方へと顔を寄せ。

「っ、」

残念ながら好いた異性の寝顔が目の前にあっても我慢のできる程、彼は大人ではなかった。
ユキが悪いんですよと小さく笑みを漏らすと彼女の柔らかい頬に己のそれをゆっくりと押し付けた。

「ゆっくり休みなさい、ユキ」

――君のその眉間の皺が無くなるのであれば僕の制服なんていくらでも差し上げましょう。
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