Diary

皆が全て食事を平らげてしまったので皿は見事綺麗になっている。
明日全員で片付けをしなくてはと思いながら骸は自分の肩に寄りかかっているユキの細い肩に手を回した。浅く呼吸を繰り返す彼女の先ほどの言葉は、本心なのだろうか。
自分の気持ちは恐らく彼女以外には伝わってしまっているだろう。どうしてこうもユキだけは思い通りにならないものなのか。

「ユキ、こんなところで寝ると風邪を引きますよ」
「…ん、」

離れるのは惜しいがまた風邪を引くのも困る。
起きる気配のないユキの身体をそっと抱きかかえ彼女の部屋へと運ぶ。

久々に訪れたユキの部屋は相変わらず何もなかった。犬からもらうガムの箱などが並んでいるぐらいで、彼女はよほど人からもらったものを大事にする性質らしい。

「…おや」

枕元には彼女に渡したスケジュール帳がある。白い表紙には日記帳と彼女の字で大きく書かれてあり、そういえば以前用途を聞いたときにまだ何にするか考え中と言っていたことを思い出した。
なるほど、ユキは日記帳として使っているようだ。

「む、くろさん?」
「起こしてしまいましたか」
「…んう」

横たえたユキはまだまだ酔いも醒めてはおらず、眠そうだ。この様子だとすぐにまた眠るに違いない。
邪魔にならぬようスケジュール帳を机の上に移動しようか逡巡しているとユキがその視線の先に気付き「ああ」と呟いた。それからふにゃりと嬉しそうに笑み、あろうことかそれを骸へと押し付けた。

「ユキ?」
「これ、見てください」
「でもこれは君の」
「いいんです。ここだけはお手紙ですから」

くすくすとユキが笑いながらそれを読むことをせっつくものだから、仕方ありませんねえと骸はその枕元へと腰を下ろし、そしてユキはそれに甘えるかのように膝へと擦り寄った。
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