「えーまた蓮と離れちゃうの」
「ならお前も来ればいいだろう」
「シャーマンファイトが終われば家に帰ってこいって煩いんだもん」

 我が家は代々シャーマンだ。
 霊感は代々強く、また家系も代々よく当たる占い師として町では人気だったりする。そんな家系に生まれてきた私もまた、その家系に連なるものとしてそれなりの特訓だの何だの受けてきた。でもさ、あんな化物達みたらどうみても私みたいなの速攻やられると思ったね。無理無理無理。勘弁してくれ私は生命が惜しいのだ。
 そんな事を考えていたらハオ様によってちっちぇえ人間第一号に認定され連れてきてもらったというわけですよ。心が読めるだとかそういうことをオパチョから教えてもらったんだけど別に私は読まれたってかまわないというか思った通りのことを速攻口に出すから何も秘密はないというかバレても怖くないというか!たまにハオ様の髪の毛撫でたいなと思うだけにして笑われたことはあるけどそれぐらい。
 
 とまあそんな感じで何とか生き永らえてきたんだけどまさかここで同郷の蓮に会うなんて誰が思っただろう。別に仲良くはなかったんだけどね!むしろ私なんてアウトオブ眼中と言いたげに睨んできたりした方が多かったし私としてはあまりお近づきになりたくなかったというか。
 小さい頃はそんな風な印象だったのに、彼もいい仲間に出会えたらしい。その頭のトンガリはともかくすっかり丸くなった姿に私も驚いてこわごわと話しかけたんだけど仲間以外の相手にも多少は柔らかくあろうとしたのか言葉はきついままだったけど会話が数往復続いて感動したものだ。


「私も強くなりたかったな」
「それほど弱くなかったと記憶してるがな」
「え、知ってたの?」
「…」
「そうだったんだ…いや、私も実は小さい頃から蓮と仲良くしたかったんだけど君のご家庭結構フクザツだったし人形怖いしさ」
「そうか」

 蓮が私の事を知っていたという衝撃ったらもう言葉にしようがない。占い師なんて彼の家庭的に言えば嘘くさいというかみみっちい職業だとか思われても可笑しくないっていうのが私の勝手な妄想だったんだけど別にそこまででも無かったらしい。
 ああ、何だかシャーマンファイト、色々と精神的に疲弊することばっかりだったけどそこまで悪くはなかったな。


「ねえ蓮、また帰ってきたら喋ろうよ」
「だから」
「だってさ、旅費とかもう底ついちゃったんだよね」

 ハオ様についていったのもまあそういうことがあってのことです。お恥ずかしい。スッカラカンになった財布を蓮に見せたら呆れられたかのようにハッと鼻で笑われたけどもうこればかりは私の散財癖が原因なので何も言い返すことなど出来るはずもなく。


「なら俺について来い」

 ――…ハイ。

 正直、言われた事に関して何も深く考えてはいなかった。ただその言葉を発した蓮がとっても格好よかったから。伸ばされた手を取らないという選択肢はそもそもなかったから。
 掴んだその手を強く握り返され、早々と前を歩く蓮にどこいくの?と聞いたら彼何って答えたと思う?「決めてない」ですって。
 それも蓮っぽくて良いなって思っちゃったあたり私はダメダメだしこれから楽しい旅が始まるんだろうなと私は内心ワクワクしながら家族にごめんなさいと一言謝り彼に置いていかれないよう走り出すのです。
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