「お前さっき飯食ったとこじゃねえのか」
「コレは別腹ですー」
「……さっきのケーキも別腹つってなかったか」
「コレもまた別腹なのですー」

 細かい事言ってたら女の子にモテないよスクアーロ。
 そう言いながらはふはふと頬張っていると本当に冬が来たんだなーなんて思っちゃう。夏になればアイスが食べたくなる。じゃあ冬は…となると私はコンビニを見れば肉マンを買ってしまう。もう病気といっていい。レジの横にホカホカしたそれが並んでいるとどれだけお腹がいっぱいでも「これなら食べられるかもしれない」と注文しているのだから。
 まあ今回もスクアーロとのデートの帰りに寄ったコンビニで例のごとく買っていると明らかに呆れた様子が見て取れたけど美味しいものは美味しいのだから仕方がない。
 横で呆れながら、だけど歩幅は絶対に私に合わせてくれるスクアーロはきっと今頃私の胃袋に対して心配しているに違いない。だけどチラチラと見てくるのはきっと欲しかったからだろう。素直に言えばいいのに、まったく。


「ほら、スクアーロあーんして」
「っ!」

 足を止めてスクアーロに向けて肉マンを差し出すと一瞬ポカンとした顔をする。その顔ですら格好良いと思えるんだからホント私って重症だなーとか思うわけですよ。
 だけど大口を開けてこちらにやってくるものだからあやばい全部食べられると一瞬ヒヤッとしたけど思ったよりも小さく、パクリ。もぐもぐと咀嚼するスクアーロは「まあまあだな」と彼にしてはなかなかの反応。おお、これはもしかするとデート帰りは肉マンコースになるのかもしれない。仲間が増えるのは喜ばしいことだ。


「おいしいでしょ」
「…早く食い終われ」
「え」

 肉マンを掴んだ両手首を握って今度は私の口の中にそれが入るようにと動かすとスクアーロはじっと私を見つめる。思わず開ける口。具が口いっぱいに広がり、ああ美味しいなんて言える余裕もなくもぐもぐと。


「手、空けろよ」

 …ああ、そう。そういうことね。
 両手で肉マン食べてるから手繋げないのが不満だったのね。何て可愛いんだ全く。そうと分かればとっとと残りの肉マンを口に放り投げて、ごちそうさま。「おまたせ」と手を伸ばすと当然だとばかりに強く握られる。
 彼の横顔を見ながら僅かながらに耳が赤くなっていることには気付かないことにした。きっと私だって真っ赤であることに違いないのだから。


(幸せ、だなあ…)

【あつあつ、ほかほか】

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