考えもしなかった。君を傷つけたいだなんて。

「はぁっ……あっ……。」

乱れた呼吸。汗ばんだ背中。五体揃ってない姿に欲情している自分。

「ラッセル……好きだよ……」
「ひぁっ!……あっ、ああ……。」

女の子みたいな声を出す彼に優しく口づけを落とす。
可愛いなんて言ったら彼は嬉しくないと言う。でもやはり可愛い。オス同士の性行為なんて何の意味があるのか俺は知らない。きっとラッセルも知らない。

「やだっ……あっ……!」

白い肌にかぶりつく。舌で肌を押す。吸うように肩甲骨を愛して、それが美味しいように舌を這わせる。

「あっあぁあ!!」

ラッセルは甘くなかった。それでも舌から伝わるこの耽美な味。

「可愛いよ……ラッセル。」
「やだっ……やっ……」

はねる背中に歯をたてる。少し力を加えるだけでそれは裂けて血が出て肉にいたり君を痛めるのだろう。だから優しく舐める。口づけを落とす。

俺のになればいいこの体。誰のものでもない。俺のもの。ねぇ、ラッセル。

「………オレの事好き?」
「うるせ……愛してる……」

吐いた息も落ち着かず、痛みはまだ続いているであろう彼はそう言った。

愛は重い。好きでいいのに。ああ、だめだ。愛してしまいたい。君の事全部。それが重くて苦しくても。

愛したい。




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