ボツふりふれ
2017/05/27 17:34
「あ、フレイキーだ」
ランピーさんが見た方向に僕も目を向けた。赤くてツンツンとした髪がフラフラ。フケがポツリポツリと落ちてる道路。
「本当ですね」
「見つけやすいよねーフレイキーって」
おーい。ってフレイキーを呼ぶランピーさん。残念ながらフレイキーは振り向かない。フレイキーの中にその概念が無いからだ。自分が呼ばれるわけ無いって思ってる、そんな彼女だか彼だか分からないフレイキー。
お茶をすれば目が合うのはコップの中身が半分以下になってから。話が合うのはもっと後。僕よりケーキの方がフレイキーと会話している。
赤い髪が揺れる度フケが散る。それを気にして何度も手で抑える。その度に自分の髪で自分の手を怪我して血が滲んだ手を机の下に隠す。
浮かない顔は手の怪我のせいでもっと酷くなる。
「出して」
そう言って手を出させる。そのまま絆創膏を貼ってやればフレイキーはその日初めて目を合わせて小さな声でありがとうを言う。
行動が遅くて人を苛立たせるフレイキーは、嫌われているか。否、そんな事は無かった。
僕自身、フレイキーに何でそんなにもそうなんだ。と思う所は合っても嫌いだなんて思うことはただの一度もなかった。焦れったくなったことは数度あるけれども。
その事を一番信じてなかったのはフレイキーだった。
「僕なんて何時も人の顔気にしてるよ」
フレイキーに何かをそう打ち明けた時、フレイキーからそう打ち明けられた。
prev | next