UA36

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磨り減る心


いつからか、凌の私に対する態度だけそっけなくなってた。それでも、好きだから頑張って話し掛けてたけど 段々気持ちがめげてきた。疲れちゃってたし、凌のことはしばらくそっとしておくことにした。
…もしかしたら嫌われちゃったのかもしれないし。


校舎裏の非常階段下に座って膝を抱えていたら、上からカンカンカン、と誰かが降りてくる音がして話しかけられた。同時に凌と同じ煙草の香りがしたから、少し期待して顔を上げれば 隣のクラスのヤンキーの佐倉善也だった。


「おい、大丈夫か?」
「え、あ、だいじょうぶ」
「そうかよ。お前鏑木の事好きな女だろ?」
「なっ!なんで知ってるの?!」
「そりゃ一部で有名だからな。知らねェのは鏑木本人くらいじゃねーのか?」


なんて、その人は喉の奥で押し殺すように笑う。
そ、そんなに私の気持ちって知れ渡ってんの?!やだやだやだ!何それ恥ずかしい!


「でもお前、鏑木に嫌われたんだっけか?」
「ち、ちがう!」
「あんだけ仲良さげだったのに、最近は鏑木にそっけなくされてるって、すげェウワサになってんぜ?」
「うるさいうるさいうるさい!ばか!!」


ほんとなんなのこの人!人の傷抉って更に塩塗り込んでくるし!

「なァ、試しに俺と付き合ってみねェか?」
「はぁ?」
「俺らが付き合ったらよ、あの鏑木の焦った顔でも見れるかもしんねーぜ。」


馬鹿なことを言われてるって分かってる。それでも、私のすり減ってきている心は優しさや愛情を求めてた。好きだけど、振り向いてもらえないなら

もう他に目を向けるしかないんだって、思ったの。

けれど、あれから佐倉くん…善也と話をして 付き合うのはやめた。友達で!って言ったら、善也は面白そうに笑って私の頭をわしゃわしゃ撫でた。

それが、その手が、
凌に撫でられた時の様で心地良かったの。

善也とは、結構話しやすくて休み時間毎 校舎裏の階段下や廊下で会えば話をするようになっていった。

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