ふわとろオムライス
「わーお!何これちょー可愛いじゃん。スゴくね?凌くんそんな顔してこんなん作れんの?」
「顔は関係ねぇだろ、それ食ったらさっさと帰れよ」
連れられたのは何だか小さな喫茶店。凌くんは颯爽とエプロンを腰に巻いて、オムライスを作ってくれた。
ちょー意外。あんなヤンキー顔でこんな可愛いオムライス作んのかよ。他人ってやっぱよく分かんない。
「写メっていーい?」
「てめぇは女子かよ」
「っあは、だってスゲーじゃん。ふわとろ♥」
スマホを向けてカシャッとオムライスの写メを撮る。
「凌くんってさぁ、何でヤンキーやってんの?痛いでしょ、それ」
ふわとろオムライスを食いながら何となく聞いてみると、凌くんは食器なんかを片付けながら面倒そうに俺を見やる。
「成り行きだろ」
「ふぅん。つーかスゲー美味いよコレ」
「次からは金取んぞ」
その言葉に思わず笑えば、凌くんもにっと笑う。そんな風に言われちゃもう、また来なきゃなんないじゃんか。 怖い顔しちゃって、意外といい奴じゃん。
「ごちそーさまでした」
「おう」
カウンターテーブルに頬杖ついて、ぼんやりスマホを弄くったりして。微妙に居心地よくって嫌になっちゃうな。
「あー……帰りたくない」
「てめぇは女子かよ」
「酔っちゃった♥」
「飲んでねぇだろ」
「っあは」
鋭い眼光と、鋭い突っ込み。
居心地よくってホント、嫌になっちゃうな。
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