UA36

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ふわとろオムライス




「わーお!何これちょー可愛いじゃん。スゴくね?凌くんそんな顔してこんなん作れんの?」

「顔は関係ねぇだろ、それ食ったらさっさと帰れよ」

連れられたのは何だか小さな喫茶店。凌くんは颯爽とエプロンを腰に巻いて、オムライスを作ってくれた。
ちょー意外。あんなヤンキー顔でこんな可愛いオムライス作んのかよ。他人ってやっぱよく分かんない。

「写メっていーい?」
「てめぇは女子かよ」
「っあは、だってスゲーじゃん。ふわとろ♥」

スマホを向けてカシャッとオムライスの写メを撮る。

「凌くんってさぁ、何でヤンキーやってんの?痛いでしょ、それ」

ふわとろオムライスを食いながら何となく聞いてみると、凌くんは食器なんかを片付けながら面倒そうに俺を見やる。

「成り行きだろ」
「ふぅん。つーかスゲー美味いよコレ」
「次からは金取んぞ」

その言葉に思わず笑えば、凌くんもにっと笑う。そんな風に言われちゃもう、また来なきゃなんないじゃんか。 怖い顔しちゃって、意外といい奴じゃん。

「ごちそーさまでした」
「おう」

カウンターテーブルに頬杖ついて、ぼんやりスマホを弄くったりして。微妙に居心地よくって嫌になっちゃうな。

「あー……帰りたくない」
「てめぇは女子かよ」
「酔っちゃった♥」
「飲んでねぇだろ」
「っあは」

鋭い眼光と、鋭い突っ込み。

居心地よくってホント、嫌になっちゃうな。



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