親心子知らず 3/6
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「う、わぁっ!」
「うわあっ!ご、ごめんなさ…あ、リシュヴァさん…」
「あら、ロン君」

角でぶつかったのは、ロン君だった。
珍しく、彼一人だった。
そういえば、ハリー君やハーマイオニーちゃんとはよくお話するけれど、ロン君とはそういう機会が無かったな。

「ごめんなさい、これ…」
「あ、ありがとねー」

バラけた書類を2人で集める。
ロン君が集めてくれた用紙を、受け取って立ち上がった。

「………」
「………?」

ロン君がじっとこちらをみて動かない。

「な、なに?」
「リシュヴァさんて、スネイプ先生と仲いいんですか?」
「え?うん…。そこそこね」

ロン君の顔が少し歪んだ。

「じゃあ、スネイプ先生が、何をしようとしてても許せますか?」
「…どういう意味?」
「あの先生怪しいよ。だって、ハロウィンの日のあの傷、見たでしょ?」
「あの傷…。」
「足のだよ!きっとあいつにやられたんだ…。スネイプだけ、地下に向かわず四階の階段を上ってたんだ。僕とハリーで見たんだよ!」

ロン君は必死だった。

「ねぇ四階には何があるの?スネイプはあそこの宝を狙ってるんだ。だからトロールを仕掛けたんだ。だから四階に行ったんだ!」

とても切羽詰まっている感じ。
嘘は言っていない。
でも、それしか見えていない。
その真実を信じ切ってしまって、他の真実が見えていないような焦りが感じられた。
私は何て言おうか迷った。

「セブルスは、先生だよ。そんなことはしない…。」
「でも!」
「君らにとって、セブルスはいい先生では無いかもしれない。でもね、よく考えて。」
「リシュヴァさん…」
「セブルスが傷を負っていることと、ハロウィンの日に四階へ行ったことはどちらも真実だと思う。でもさ、何でかはわかんないよね?もしかしたらただ転んだだけかもしれないし、四階じゃなくて三階に行ったのかもしれない。」
「それじゃあ、リシュヴァさんはスネイプをかばうんだね?」
「………勇敢なグリフィンドールならわかってほしい。真実を見つけることに、臆病にならないで。ときには視点を変えてみるといいかもね。」

これで良かったのか、私はわからない。
回りくどい言い方だな、と我ながら思う。
でも、きっとあの子達なら本当のことを見つけ出せるはず。
私は控えめにロン君に笑った。


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