パンプキンパイにはご用心 2/7それぞれがそれぞれの教室へ、授業へ出かけていった。
だが、セブルスだけは自分のデスクに突っ伏していた。
「どしたの?」
まだ数枚残ってるビスケットをサクサクとかじりながら聞いた。
「……としは…」
「ん?」
「…今年は、スリザリンの優勝が…」
「あー、そうね。ちょっと難しいかも」
「くっ…。」
「なんてったって、ニンバス2000だからねー、綺麗で艶めかしいよね、あのしなやかな…」
「何だって?」
「え?あのしなやかな」
「そこじゃない!」
セブルスはいきなりガバッと起き上がり、私を睨みつけて聞いてきた。
「綺麗で艶めかしい…?」
「その前」
「ニンバス2000?」
「それだ!…やつは、ニンバスを使うのか?」
「うんー。そうみたいだよ。今朝マクゴナガル先生が大事そうに包みに包装してたから」
今度はがっくりと肩をおとし、だらりと椅子の背もたれに寄りかかった。
「そ、そんなに落ち込むことないじゃない…。まだ負けるって決まったわけじゃなしに」
「負けだ…。今年はうちの…負けだ…。」
またあの、元の体制に戻った。
ビスケットはあと二枚残っている。
「ほら、セブ…?元気出して。ビスケットあげるから…」
ふるふると、力無く首を横に振った。
なので私がサクサクした。
「いいじゃない、ほら、去年の最終試合は…ねぇ。もう。ほら、授業しなくていいの?」
そう聞くと、セブルスはよろよろと立ち上がりふらふらと教員室を出て行った。
「あーりゃりゃ…」
私は最後の一枚をサクサクしながら、どうしたもんかと頭をひねった。
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