似て非なるそれぞれ 2/3「セブルス、呼んだ?」
地下のセブルス・スネイプ教授の私室をノック無しで開ける。
そして部屋主、セブルスはものすごい形相でこちらを睨んできた。
「何だと?私は呼んでない。」
「あっれ?そうなの?」
「その前にノックをしろ、ノックを!」
えへ、ごめーんと軽く謝り、それじゃあ、と部屋を出ようと、今くぐったドアのノブに手をかける。
「待て」
すると声をかけられた。
「なに?」
くるっと方向転換し、セブルスを見た。
だが、待てどもその次の言葉がない。
セブルスは視線をあちこちに動かしたり、手をはっと動かしたりと忙しそうだった。
「セブ?」
もう一度聞く。
すると今度は口を開いた。
「お前も、"あの部屋"を任されていたな?」
事務員室に戻ると、フィルチさんがにやにやと意地の悪い笑顔を浮かべていた。
でもこれはフィルチさんの満面の笑みなので、意地悪なことを考えてないときでもどきどきみせる顔だ。
「なんだか嬉しそうですねぇ、フィルチさん?」
とびきりチャーミングな笑顔でミセス・ノリスを撫でているフィルチさんに声をかけた。
「いやなに、今日は奴らをとっちめる絶好の日になりそうでね…」
「奴ら?」
「ポッターだよ!!ふふふ…。どんな罰を与えてやろうか…」
ポッター…ハリー君…?
「フィルチさん、それって…?」
そう聞いたが、もう遅かった。
既にフィルチさんの心はここには無かった。
その日の夜遅く、今日の見回りは私の当番だったのだが、フィルチさんに代わって欲しいといわれた。
でも、昼間のことがあったため一応私も見回りをしていたのだ。
「ルーモス」
杖の先に光を灯し、ボロいローブの裾を引きずりながら冷たく暗い廊下を歩いた。
どんっ
「きゃっ」
「わぁあああっ!」
廊下の角を曲がったところで、誰かとぶつかった。
「すみません、大丈夫ですか!?」
慌てて杖を向けると、そこにはターバンをまいたクィレル先生がいた。
「あれ?クィレル先生?」
どうしてここに?と聞く前に、先生はすみません、すみませんっ!と言いながら足早に歩いていってしまった。
私はクィレル先生とあまり話したことがない。
何故かはわからないけど、きっと避けられてる。
いつも話しかけると、曖昧な受け答えをして笑顔でどこかへ立ち去ってしまう。
私は別に気にしてはいなかったが、少し淋しくは感じていた。
と、そのとき遠くでガッシャーン!という大きな物音と、ピーブズの叫び声が聞こえた。
「トロフィー室の方からだわ…」
私は走った。
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