11歳
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今日は1971年の8月31日。

明日からホグワーツの新学期がはじまる。
そして僕はそのホグワーツに入学するために、制服の採寸をしにダイアゴン横丁へ来ていた。



『ハリー、君が未来からやってきたのは理解した。その上で、提案があるのじゃが』
『提案?』
『そうじゃ。君は見た目も若くなっておる』
『…本当だ』
『気付いていなかったのか?そこで、もう一度ホグワーツに入学するのはどうじゃろう?』



「あっごめんなさい!」
マダム・マルキンの店へ入ろうとしたら、誰かとぶつかった。
店から出てきたようだ。

「大丈夫です………か……………」

目を疑った。
ぶつかったのは、自分の父親、ジェームズ・ポッターだった。



『でもここには、僕の両親や、貴方みたいに未来の大人達がいます。…みんながみんな、先生のように受け入れてくれるとは限りませんよ』



「…大丈夫だ、君は?」
「へ、平気。」

ぶつかった拍子に尻餅をついた僕に手を差し出しながら言った。

「よかった。入学前に傷害事件なんてやってられないからな。」
「傷害事件って………そこまで大きくならないんじゃないかな」

ぽんぽんと服についた砂を払いながら苦笑する。

「君もホグワーツの新入生かい?」
「うん。そうだよ」
「僕もだ。僕はジェームズ・ポッター。君は?」
「………ハロルド・ホルター」



『名前だって見た目だって………。僕、父親と瓜二つなんです。不信がられてしまいますよ。』
『それじゃあ名前も見た目も変えればよい。』
『…変える?』
『そうじゃ、君は別人として、二回目の学生生活を送るのじゃ。』
『でも、どうしてタイムスリップしてしまったのかわからないんですよ?いきなり未来に戻ったりしたら………』
『大丈夫じゃハリー。わしがちょちょっとしておく。何も心配することはないぞ。』



僕は、今はくしゃくしゃじゃない髪を撫でつけながら言った。

「ふーん。ハロルド、同じ寮になれるといいな。じゃあ、ホグワーツで会おう。」

にやりと意地の悪い、でも人懐こい笑顔を残してジェームズはいってしまった。
その後ろ姿に手を振り、やっとマダム・マルキンの店に入って採寸を開始した。
入学するまえから知り合いにあってしまうなんて。
しかもジェームズに会ったとき思わず父さん、と言ってしまいそうになった。
でも、スネイプの記憶でみたジェームズとは何か違っていた。
あんな人でなしじゃなかった。
むしろ、優しそうな………。
やっぱり父さんはスネイプだけを毛嫌いしていたのかな?
僕はきゅっと下唇を噛んだ。

そうだ、スネイプ。
それに母さんやリーマス、シリウスおじさんにペティグリューもいるんだ。
………みんな、同い年の他人として。
こっちにきて初めて会った人が父さんでよかった。
きっと他の人だとその場で泣き崩れてしまうかもしれない。
死んだみんながいるんだ。



『これも何かの縁なのじゃよハリー。』



採寸を終えた僕は、明日からの学校生活に思いを馳せながら店を出た。


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