1
bookmark





「私に………ですか………?」
「そうじゃ。リリーの最期の頼みでの。セブルスに育ててほしいと。」

ダンブルドアから言い渡されたその言葉を聞いてスネイプは口に手をあて、困ったような顔をした。
リリーが自分を選んでくれた喜びで内心浮かれていたが、それ以上に自分には出過ぎた『育ての親』という役割に怖じ気付いていた。

「すみません…私には……」
「ほお?最愛の彼女からの最期の頼みを聞けんとな?」
「う…」

更に追い討ちをかけるようダンブルドアが続ける。

「お主はわしに何でもすると誓ったではないか、あれは嘘だったのかの?」
「違っ……だって、これはこの子の未来を………こんな……大事な子を私が育てるなど………自信がない…。」

ふむ、と今度はダンブルドアが困る番だった。
もう屍喰い人ではないとはいえ、危険が無いわけではない。
勿論信頼はしている。
だが腕の刻印が消えることはないのだ。

「じゃがのう…」
「………」

いつの間にかスネイプは静かに涙を流していた。

「セブルス、………あれこれをどうのという前に、お主はどうなのじゃ?」
「………え?」
「お主は、この子を育てる気はないのかと聞いておる。」

するとスネイプは両目を見開きぶんぶんと頭をふった。

「育てたい………!リリーの、忘れ形見を………成長していく姿を見たい………!」

その言葉にダンブルドアはにっこりと微笑んだ。

「セブルス、それでよいのじゃ。それで。」
「それでいい…?」
「きっとこれはお主に課された試練なのじゃよ。彼女は君を知った上でこの子を託したのじゃ。」

スネイプは今まで意識して目を逸らしていたその子、ハリーを見た。
ダンブルドアに抱かれ、気持ち良さげに眠っている。
その寝顔をみて、スネイプは決心した。

「…私が、ハリーを育てます………。」



prev|next

[戻る]

top
ちー坊:Remember
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -