なれそめ@


*強姦チック





異常気象なんて毎年の事だがその夏の日はとにかく暑かった。

そんな暑さにやられてぐったりとしていたところにかの大陰陽師様の安倍晴明の生まれ変わりの祖父に、暑さに負けるとは情けない、この様な有り様に妖の調服など出来ようか、いや出来まいのうと反復法で言われてしまっては暑さよりもイライラが勝りに勝って一人飛び出した訳である。

炎天下に飛び出した張本人安倍昌浩は非常に困っていた。
怒りに任せて妖の調服は済ませたはいいが、それと同時に豪雨に見回れ立ち往生していた。
出てくる時は憎たらしい快晴だったのに今となっては夜のような暗さである。

「ついてないなぁ…服もこれじゃあな」

そう言って適当に着てきたシャツの裾を絞るとボタボタと落ちる水滴にため息が零れた。
そこへ一台見慣れた車が停まって、ガチャリとドアから出てきた不機嫌そうな顔。
「……げっ、青龍…」

その姿を見た途端体温が−3℃くらい下がった気がしてぶぇっくしょいとくしゃみが出る。


車内には持ってきてくれたのだろうタオルが何枚か置いてあり昌浩は濡れた体を乾かす。衣服の水分までは流石に取りきれずガタガタと体温を奪われていく。

「あのさ、青龍」
「何だ」
「ここから青龍の家近かったよね、シャワー貸してくれない?」

寒くてさ、と付け足すと返ってきたのは予想通りの舌打ちでやっぱ無理だよなぁと思いながらぎゅうとタオルに踞る。
一方車のルートは大通りから外れて見覚えのある脇道に入る。あれれ、と見上げれば大きなマンションの駐車場である。

「今回だけだ」
「あ、ありがとう」
そう言うと青龍の後を追ってマンションに入っていく。
お邪魔します、と入った部屋は綺麗に片付けられていて必要最小限のものしか置かれていなかった。白と黒を基本とされているインテリアばかりでこういうのをシックな造りというんだろうかとかぼんやりと考えていると、こっちだと簡単に浴槽の案内をされてブラウスとジーンズを手渡される。
着ていいのかと問いかける前にピシャンと扉を閉められて、まぁいいかとずぶ濡れの服を脱いでシャワーを浴びる。
ほっかりと温まった昌浩は手渡されたシャツに着替えると案の定ぶかぶかでワンピースを着ているようなサイズだった。ジーンズを履いてみたがいかんせん長い、八頭身の持ち主の長い脚を思い出してぐぅと悔しがりジーンズを脱ぐ。
まぁシャツだけでいいだろうと外に出ると、ソファで珈琲を飲んでいた青龍と目があうと冷静沈着の四文字が似合う普段からは想像がつかない表情で驚かれ一瞬たじろいだ。

「下を履け」
「それが長くってさ、シャツもワンピースくらいあるし良いかなぁと思って」

良いかなぁと言っても膝上20センチの丈でひらひらと見え隠れする太股が艶かしく、所謂彼シャツというシチュエーション。
目に毒というか下半身に毒というか…兎に角青龍は頭を抱えた。
そんな心情を知ってか知らずか昌浩はちょこんとソファに腰かける。

「貴様は…阿呆だな、どうなっても知らんぞ」
「なにが?シャワーありがとう、お陰で温まったよ」

にこりと言う効果音がつきそうな蔓延の笑みでお礼を言ってのける昌浩をぐいと革張りのソファーに縫い付けるように押し倒す。
昌浩は何が起きたか分からずぱちくりと見下ろす青龍を見上げるとするりと太腿を撫上げられビクリと身体が跳ねた。

「流石騰蛇に慣らされているだけはあるな」

なんで紅蓮が出てくるんだ、と聞こうとする前に唇を塞がれる。角度を変えて進入してくる舌に翻弄され水音が部屋に響く。とろんと酸素の足りなくなった身体を抱きかかえられベットに乱暴に投げつけられた。
衝撃に顔を歪めると再び口付けを落とされ、先ほどよりも深いそれから響く水音に犯される。

ぷつりと留めているボタンに手を掛けられて、掌に収まる程度しかない胸が露になる。抵抗を試みるも上手く力が入らない。吸い付くように手で肌を撫でられ思わず声が上がる。

「なんでそんなとこっ、んぁ、やぁっ、」
お世辞にも大きいとは言えない胸をやわやわと揉みしだかれて背筋にピリッとした感触が伝う。初めての感覚に戸惑っていると胸の突起を押しつぶされ、摘まれもう一方は舌で転がされる。左右に違う刺激を与えられ競り上がってくるような快感に身体が跳ね上がる。

不意に手が肌から離れ呼吸を整える。すると青龍の長い指が下着に触れる。

「ここも随分と鳴らされているようだな」

そういって割れ目に指が伝い、割れ目の上にある突起に触れられると先ほどとは比べ物にならない快感が押し寄せてくる。

「そんなとこさわっちゃぁあ、やめてっ、」
ぬるりと侵入してくる指の感覚に身体を強張らせる、その内に侵入してきた指は増えバラバラと動かされれば身体が反応していく。

「そこやだぁあっ、なんかへん、になるっあっ、」

指を抜かれ、次にそこへ宛がわれたのは男性器。学校の保健の授業での知識はあるも初めてみるその昂ぶりに目を見張る。
「だめっ、せいりゅ、ああっ!」

先ほどの指とは比べ物にならない質量で貫かれ、その痛さに一度意識が飛びそうになる。


「使い古しのわりには随分締め付けがいいな」

耳元でそう囁かれ顔が赤らむ。
鼻で笑いふと繋がる部分に目をやればポタリと流れる鮮血に驚く。

「…貴様処女だったのか?」

痛みに堪えるようにシーツを握り締めこくりと頷く。
そんな、まさか、信じられない、あの騰蛇のことだ、てっきりもう…

「…なんで、泣きそうな顔するんだ」
「なんのことだ」

苦痛に顔を歪ませ見上げればいつもの澄ました顔はどこへやら、くしゃりと歪んだ綺麗な顔が目に入り、思わず抱き寄せる。

「なんの真似だ」
「や、青龍が辛そうだったから…」

辛いのは自分だろうに、どこまでお人よしなのかと苦笑する。

「なぁ、昌浩。続きをしてもいいか。それと宵藍でいい。」

そうやって見たことも無い優しい表情で告げられた名前に目を見開き、顔が赤くなるのが分かるくらい体温が上がれば、ゆっくりと味わうように口付けを落とされる。

「しょ、らんっ、なんかヘンになるっ、」

幾度と突き上げられ解されていったそこは血液から愛液へ変化し水音を増す。最初は苦痛でしかなかったそこも今では最奥を突かれる度にチカチカと甘い痺れを齎すようになっていた。

「昌浩っ、」
「しょうら、んやぁっ、ああっ、!」

絶頂の近さに腰の動きを早めれば昌浩は縋るように青龍の肩に腕を回す。
一際大きく嬌声を上げれば身体が大きく跳ね上がる。いままで感じたことも無い快感。内壁に熱いものが当たる刺激にすら達してしまっていた。
ずるり、と今まで自分を貫いていた肉棒が抜かれれば感じやすくなっている身体にはそれすら毒で打ち上げられた魚のようだと思った。
ぎゅうと抱きしめられ触れるだけの口付けを何度も落とされる。

「まだ…するのか…?」
「したいのか?」
「ちがっ、!ああっ、」
そんなこんなで何度達したか分からないそれは昌浩が意識を手放すまで続いた。

くたりと横たわる昌浩に青龍は目を細め、顔に張り付いた髪をゆっくりと拭うと同時に襲ってくる後悔。
既に騰蛇のものだったら諦めがついたのだ、それなのに見つけてしまった隙間にこんなにも自分が歯止めが利かなかったとは予想していなかった。

「    」

呟かれた言葉は未だに降り止まない雨に掻き消された。





それから2週間後だった。何事も無かったように過ごしていた昌浩が行方不明となってしまったのは。

 

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