おやすみなさい


色気なく携帯の着信音1が鳴ると青龍から今日は遅くなるというメールだった
息子の翔と二人で夕飯を済ませた頃、太陰と玄武がやって来て日課になっている夜警に行く時間であった

翔も行きたがり絶対傍を離れない事を約束に、四人で出掛ける
端から見たらどう見ても年が離れた兄弟がコンビニにでも行くっていう図だよなぁ、と口に出せばまた子ども扱いして!と怒りそうなのが一名居るので黙っておく



「孫姫ーー!」
そう言うと同時に塀の上から降ってきたのは相も変わらない雑鬼達で、することも本当に変わらない
ひんやりとしたアスファルトの上で昌浩はそう思った

「お、今日は翔も一緒か」
「そうだよ、なにして遊ぶ?」
そう言うと近くの空き地で鬼ごっこや子ども達の間で大流行の戦隊もののヒーローごっこをしている

微笑ましいなぁと思いながら、よいしょと近くの座れそうな場所に腰かける

「ちょっと昌浩、雑鬼なんかと遊ばせてていいの?」
「うん、そんなに悪さする奴らじゃないしね。太陰も混ざってくる?」
「ちょっと、子ども扱いしないでよね!」

一通り遊び終わった頃に翔が雑鬼をかかえて戻ってくる
雑鬼達も心なしか疲れているように見える


「ところで最近何か変わったことある?」
「そーゆーのは自分で調べるもんだぞー孫ー」

そうだぞ、孫孫とあちらこちらから好き勝手孫と呼ぶ雑鬼達に孫言うな!と一喝

「昌浩、近所迷惑だぞ」
あ、と玄武の指摘に気づき、雑鬼達をみる
「まー特になんもないけどなー」
結局は教えてくれる雑鬼達に最初からそう言えばいいのに、と思いながら礼をいい
電信柱の蛍光灯が照らす道を歩く
翔は途中で眠くなったようで、フラフラと覚束ない
よいしょと肩車してやろうとすると、玄武が変わってくれた
私が家まで送ってくるわ!!と太陰が胸を張って言ったが、もちろん丁重にお断りした

帰り道新しくケーキ屋さんが出来ているのを見つけて、今度三人で来ようか、なんて話ながら家につく



まだ青龍は帰っていないようで、眠っている翔を起こさないようにベッドに運んだ


さて俺も寝ようとシャワーを浴びて寝間着に着替え、ベッドに横たわる
何もなかったとはいえ夜警を終え疲れたはずなのに、なんだか寝付けない

とりあえず寝よう寝ようと考えれば不思議と寝付けないもので、いつもなに考えながら寝てたとか、どんな体勢でとか考えてどうにもこうにも寝付けず
枕元の携帯電話を光らせれば、げっ、もうこんな時間?早く寝なきゃという悪循環に悩む

いつもの1.5倍に広かったベッドをゴロゴロと転がってみるが毛布が纏わりつく
巻き寿司のようにくるまれた昌浩だがなんだか酷く寒くて、また携帯の待受画面に表示された時刻をみる

目はすっかり暗闇に慣れていて、枕をぎゅうと抱き締めるとほんのり青龍の匂いがしてぎゅうと胸が押し潰された気がした

そういや前にも寝付けない時があって、隣に眠っている青龍の顔をまじまじと見つめていた
整った顔立ちに長い睫毛に透明感のある肌
こういうのを綺麗と言うんだろう

惚れ惚れとしていたら、どうやら視線に気づかれたようでバシンと大きな掌で顔を覆われてしまった
それからポンポンと心地よいリズムであやされて、子ども扱いにムッとしながらも気付いたら寝てしまっていた

そのリズムを思い出しながらうつらうつらとしていると部屋の間接照明が柔らかい明かりを灯す
毛布にくるまったまま、むくりと体を起こすと寝間着姿の青龍が少々驚いた様子で此方をみていた

「何をしている、芋虫の真似か?」
「違うから」

お帰りなさい、とぽつりと言って体を丸めてる
青龍が傍に腰かけ、昌浩の少しだけ寝癖がついてしまった髪を鋤きながら、起こしたか?と訪ねられればふるふると首をふった

「宵藍…」
そう呼ぶと昌浩はもぞもぞと体を動かして青龍の肩にもたれかかる
「どうした、寂しかったか、昌浩」
ふっと微笑まれて、しかも図星だった寝付けない理由まで当てられて、昌浩はだんまりと俯いた

すっと顎を持ち上げられ柔らかく口付けられる
ゆっくり歯列をなぞられてお互いの舌を絡めあう
角度を変えてもっと深く深く

「んっ…ぁ…」

静かな空間にクチュリと響く水音が恥ずかしくて体温が上がっていくのが止められない

長く深い口付けはどんどん酸欠になっていって時折背骨からビリッと走る刺激に体が跳ねる

「…っ…も、くるし…っ…」

絡めた舌を離すと銀糸がつうと引いて、はぁはぁともたれかかりながら酸素を目に涙を浮かべて求めている姿は扇情的

さてとこれからと体勢を整えれば、昌浩が気持ち良さそうに寝息をたてている
寝るか普通、と呆然としながら既に半勃ちのそれに舌打ちをかましてあと何時間居られるか分からない床についた



(待てよ…毛布がない)

 

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