「せーりゅー」

パタパタという効果音が似合いそうに駆けてくるのは主、安部晴明の末孫にあたる人物である

青龍は舌打ちするとそっぽを向く…とまあいつもならこれで泣きそうな顔をして諦めてどこかへ行くのだが今日はそうではなかったようだ

「………なんだ」

「あのね、まさと遊んでほしいの」

「騰蛇に頼め」

「今日はせーりゅーと遊びたいの!!」

それを聞いて青龍の眉間に益々皺がよる
いっそ穏形してしまおうか、そうだそれがいい

「それじゃまさのおやつ半分あげる!そしたら遊んでくれるでしょ?」

自分は物で釣られるような存在と思われていたのか、心外だ、物凄く、いや本当に

「うー…それじゃあね……」




「まさをあげる!!」


「……………………………は?」
自分の情けない声が出たことにも驚いたが、それ以前にあの子どもが言った内容だ

「だから、まさをあげるの!まさ大きくなったらせーりゅーのお嫁さんになる!」

………これは所謂あれだろうか、将来はお父さんのお嫁さんになるイベントだろうか
実の父の吉昌だとかそれこそ騰蛇とかに起こりそうなイベントであるのに
いやもう起こってしまったものはしょうがないというか

等と悶々と考えていれば頬を膨らまして昌浩がこちらを見上げているのに気付く
「ねー遊ぼ?」

はいはい、と眉間の皺をひとつ消すと小さな手に引かれ遊びに付き合う蒼いのがひとついたのだとか



泣く子も黙る


(おい、約束は忘れるなよ)
(……?うん!)
(…………………)

 

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