迷惑メール | ナノ

ドクン…ドクン…
髄から伝わるような響き
良くない感情を抱えた俺は何故だがそれに酔っていた

滅茶苦茶にしたい
そうやって、俺を壊す君を





「よっしゃ!送ったでぇ〜」
「いちいち言わんでもよろしいがな、謙也さ〜ん」
「小春、他の男に滅多に話しかけんでええ!」

変わらない光景。嬉しそうな謙也と、毎回一緒に居る小春と一氏。
俺はそれをぼぅっと、何処か遠くから見るようにしていた。

それはいつもと変わらないのだけれど、俺がいつもの、ではないのだ。謙也がメールを送っているのは忍足侑士。あいつの従兄弟にあたる。今では東京の氷帝というところで「天才」という肩書きを背負ってるらしい。俺もよく知っている相手だったし、別段不快に思う人間でもなかった。

だけど。

今は違う。俺が謙也を恋人にしたというのに、忍足侑士はもうここにはいないというのに。状況がまるで変わらない。謙也は忍足侑士に間接的にべったりだ。
従兄弟というだけでそれ以外の情報をまるで知りえない(また知りたくも無い)俺はその異常なまでのべったり具合に、そろそろ苛付きを通り越して恍惚感を覚えていた。

侑士は、憎い。でもその侑士のおかげで、この感覚を味わえている。いじらしく嫉妬している内に釘を刺しておけば良かった。

でももう遅い。





「なぁ、白石…なんでこんな事、するん…?」

今日は謙也を部屋に呼び、ベッドに寝かせると無理矢理ベッドのパイプに両腕を縛り付けた。
そしてそのまま見下ろしていると、謙也が恐る恐るというように聞いてきたので、俺は思わず口角を上げた。

「たまにはええやろ?SMチックなプレイも」
「や…に、決まっとるやん」

困惑した表情で答える謙也。ゾクゾクした。
予め用意しておいたアルミのパイプを手に取って見せてやると、殴られると思ったのか身を縮めた。
それすら愛しい。
まるで小動物のようだ。
ベッドに腰掛け、縮こまった片足を引き付けてパイプに括り付ける。

「や…何…何の…マネ…」

謙也の震える声を無視し、もう片方の足も、パイプの端っこに縛る。すると見事に足は強制的に開脚され、謙也は自由を奪われた。俺の手によって。
勿論携帯になんか触れる事は出来ない。

「何やねんこのカッコ!」
「実験体のカエルってところやなぁ」

腰を揺すってみたり、膝をくっつけてみたりする姿が面白くて、俺は暫しその苦闘っぷりを観察した。上気して桜色に染まる頬は口付けたいくらいに愛しいのに、抓り上げてしまいたいくらい、同時に憎い。そしてその感情が、心地良い。

「さぁいくでぇ…謙也」

俺は謙也の膝を割り、入り込んで手をつき、もう片手で引き寄せるように頬を掴んだ。

「ぃ…ぅ…っ」

ぐ、と手に力を入れれば痛みに呻く。当然のことが、快感になる。

「何でこんな事するか、教えよか」

問うと、ゆっくり、手の力に抗うように謙也は頷く。

「お前がなぁ、侑士侑士、メールや電話でごちゃごちゃうるさいからや。俺は嫉妬しとんねん。分かるよな?」

そう言うと同時に、口付けた。自らの手を離し、唇に吸い付いて粘膜を味わう。逃げ出そうとする舌を絡め取り、激しく何度も角度を変えて。

「ン…っんぅ…っん、ん…ッ」

そしてそのまま手を首筋から突起へとおろしていき、布の上から何度も擦り上げた。次第に硬くなってくるしこり。両胸そうしてやると、謙也は腰を浮かせて喜んでいるように見えた。

「や…あかん、て…ぇ…っ」

口を離して次は下半身を狙う。ベルトを外そうとすると蕩けた声で謙也が抗議をしてきたので、力任せに一気に下着ごと足首まで衣類を下げてやった。悲鳴のような声が聞こえた気がするが、気のせいだ。

パイプで固定された足は完全には閉じられず、自分でやっておきながらいじらしい様にすら感じる。膝を掴み開ききると、そこには密かに息づいた謙也のモノがあった。
恥ずかしさに目を潤ませている謙也は抗議の声を上げている。

俺は身を屈めて、そっとそれに手を沿え舐め上げた。

「んぁああっあかんてぇ…しらい…しィ」
「あかんことないて…乳首擦ってキスしただけでこないにして…」

ますます顔を赤くして、謙也は唇をきゅうと噛み締めた。
ぴちゃぴちゃと周りを舐め、皮から露出した先の割れ目をちろちろと責めると、新たな露が溢れてくる。

「嫌やて…っそこばっか…ンッ」
「そこばっか?…ん、ならこっちもいこか」

唾液と透明な蜜の伝った後孔は軽く触るだけでヒクついた。
謙也は怯えた様な声を出したながらもどこか甘く否定している。

「まずは一本…」
「ひ…ッ」

くちゅりと入り込んだ指は中でぐにゅぐにゅと遊ばせて、俺は目の前のエモノを口にぱくりと含み、頭を上下させた。

「ひゃぁぁあっあっすご…っぁあ」

吸引しながらしてやると、謙也は呆気なくイキかけた。
そこで口を離し、二本に増やしていた指は前立腺に触れさせる。

「ひっ」
「俺の前で…いや、これからも侑士侑士言うんやったらこのまま責め地獄や…。俺を一番に好いてて従兄弟と距離置くんなら、今イカしたる」
「そ…れは…っ」

無駄口を叩こうとしたところで前立腺をひと撫でする。謙也がこっちも弱い事はすでに知っているのだ。

「アっ、」
「どうするん?早よ決めな…責め地獄にするで」
「わかっ…分かった、っ…俺は一番、白石を愛してるっ…んで…侑士とも、距離、置く…っ」

頭を上げ、こちらを無理に向く瞳から涙がつぅと流れ出た。
真っ赤な顔に潤む瞳…屈辱的とでも言いたげな唇。
俺はそれだけでも絶頂に達しそうになりながら、再び息づくモノを口に含むのだった。



「俺、白石のこと相談してたんやで?妬く事ないやんかっ」

シャワーを浴びて中にたっぷり出されたものを処理した謙也はもう元気になっていた。
俺は溜め息を吐きながら、まだ裸の上半身にシャツをかけた。

「分かってへんなぁ…内容が何であれ、妬くに決まってるやろ。あれだけやってたら」

ベッドに座り、横でボタンを留めている白石を見つめ、謙也は密かに笑ってキスをした。

「今度からは一番、白石にメール送るわ」

次の日から返信が追いつかない程の量が送られてきて、がっくり肩を落としたのは言うまでも無い。