エロ過ぎる演者 久しぶりに甲斐クンに抱いてもらえるかと思ったら散々なことが待っていた。 “もらえる”というのは些か腰が低すぎるだろうか。 部活や勉強でなかなか相手が出来なかった自分の都合が大半を占めるので、悪いとは思っている。 だからサービスはするつもりでいた。出来る範囲のことなので知れているけれど。 でも望まれたことは想定していたことよりもハードルが高かった。 場所は甲斐クンの家。自分が全部片付けるからと言った彼はとても必死だった。 提供する場所がある訳でもないので快諾した。 今は甲斐クンの部屋で、渡された本を見ている。 何と言い表せばいいのだろう。 自分では絶対に購入しない類いの本。ただのグラビアより悪いんじゃないかと思ってしまうのは恐らく、喘ぐ女性の言葉遣いが酷い所為だ。 「甲斐クンが漫画読むのは知ってたけど……こういうの、皆読んでるの?」 「え?いや?凛も読まない」 「も?」 「凛は割りと何でも受け付けるから」 「そうなんだ…。本当に甲斐クンの?」 「そうだよ。俺のえろ漫画」 その言葉に深い溜息が零れた。 何故そういう単語が口から簡単に出るんだか理解出来ない。 今となっては自慰ですら後ろを使う俺が言えることではないのかもしれないけれど。 どっちもどっちか。 読まされているこの状況は、甲斐クンが俺にこういうこと言ってーなどと甘えてきたのが始まりで、初めは強く拒否したし漫画に目を通すのも嫌がったのだが、あまりにも力を落としてショックを受けた様子を見せたので。仕方ないと譲る姿勢を見せたら押し付けられた。 いつもはこう甘くしない。 久しぶりというのは恋人の自分も同じなのだし、偶には言うことを聞いてあげようなんて思ってしまった所為。 「まー、永四郎。ただのプレイだし。そんなに思い詰めなくても」 「君はいいかもしれないけど、俺が言う方だからね。嫌がって当然でしょ?女性でもこんなの言ってって言われたら嫌がるよ」 「へー」 「気を付けなさいよ」 「永四郎が恋人だから関係ないし」 「俺相手にも言うなって言ってるんだよ」 「もう言いませんもう言いません」 掴んで引き寄せた服を乱暴に離してページを捲る。 見れば見るほど凄まじい。この紙面の女子はAVよりも大袈裟に違いない。 「そういうのをさ、永四郎が言ったらって想像するのがいいんだ」 「説明を望んでいないんだけど」 「…だから、俺は永四郎のこと考えてしてるのと一緒なんだけど」 隣に座り直した甲斐クンが擦り寄ってくる。 ああ、嫌だ。本当に嫌だが一度くらい付き合えば甲斐クンだって嫌になるだろうし、途中で中断を迫られればすぐにやめる羽目になるのがオチだ。 漫画から甲斐クンへ視線を移してキスを仕掛けると後頭部を抑えられて舌を絡めてきた。 「ん、ん…は、…」 鼻から抜ける声はもう呑まれかかってる。甲斐クンのいつもより切羽詰まった顔が好きだ。 離れた唇から紡がれる銀糸を舐め取る。 興奮して既に息を乱した彼は俺のシャツのボタンを外していく。 前が全開になると、首筋を舐められて、何度も肌を吸われる。 その感触に浸っていたが、甲斐クンはふと手を止めて俺を見つめて来た。 「なに…?」 「永四郎、ここ、」 男の胸筋を指差して甲斐クンが口だけで笑む。 まさか、と思ったがどうやら本気なようで進もうとしない。そして目が笑わない。 「俺は女性じゃないから」 「そういう問題じゃなくて。盛り上げると思って言ってみて」 「……おっぱい、触って」 死にたい。 いっそ触らなくていい。胸なんて放置で構わない。 悶えそうになった俺に反して、甲斐クンは嬉しそうに、しかも本当に興奮したみたいにしゃぶりついた。 舌先で捏ねられるとなんとなく気持ちいい突起が片方はくにくにと優しく摘んでは潰されて、腰に甘い痺れが走る。 少しずつ電流を流されるようにぴくぴくと動く体は快楽に素直だ。 布団の上に寝て、漫画を再び開く。 「もっとして…」 「どこを」 「え?」 「おっぱいを?」 違うと言うと甲斐クンは下腹を指差して首を傾げる。 今更手順が分からない訳でもないのになんて無駄で下手な焦らし。 頷いたってどうせ触らないんだろう。 「そこはなんて言うものなの?書いてないけど」 「書いてるよ。ほら」 ぺらぺらと進んだページの中で、大声で叫ばれているその単語。 「永四郎、言わないと。半勃ちのままだよ」 「っ…お、おちん●を」 「ブフッ」 「なんで吹き出すの!やめるよ?」 「やだ、やめないで」 「こんなの…甲斐クンだって言わない、でしょ」 「言わないけど、永四郎が言うと興奮するから」 ズボンの上から形を確かめるように揉まれて、硬くなってくると脱がされた。 下着を押し上げる箇所を吸われる。いきなり過ぎて足が跳ねた。布越しなのに、凄く感じてしまう。 恥ずかしがる暇も無く下着まで脱がされて、甲斐クンは俺の片足を抱えて枕を腰の下に押し込んだ。 お互い滑稽なくらいに余裕が無い。 潤滑剤を適当に垂らして、尻の肉を割り開かれる。後孔まで及ぶ液体の感触に震えた。 「甲斐、く…」 指が入ってきた。細く感じる。 気遣うつもりはあるらしい。 本を数ページ分捲って次の絵柄に変わったのを見つけた。 熱い息を吐きながら何をしているんだと自分に問いつつ、声を絞り出す。 「んあぁ、あ、…もっと、指…ちょう、だい…っふ、ッ」 強請るように言ったら質量が増した。もう一本くらい足されたんだろうか。 きついけど痛みは無くて、探るように出し入れされると先走りが増した。たらたらと零れる透明な液体を指に纏わせて甲斐クンの片手が扱いてくる。 「ひっ両方、駄目、って…っ甲斐、く…っ」 「気持ちいいの永四郎」 「ぃ…っん……ッ」 前立腺を指で擦られて射精感が高まってきた。粘着質な音が引っ切り無しに響いていて嫌でも耳に入ってくる。 唾液が垂れるのも構わずに只管喘いでいると指が抜かれて物足りなさが襲う。 力の抜けた両脚が開脚したままだらしなく倒れた。 前を扱いていた手も離れ、甲斐クンはいよいよ自分のズボンにも手を掛ける。下着と一緒に脱いでいるその間すら欲しくて、頭がおかしくなりそうだった。 両手を伸ばして首の後ろにまわすと、甲斐クンは一瞬驚いてから微笑んで俺の唇を軽く吸った。 「甲斐クン…」 「待って永四郎、ちょっと、待って、これ」 なんて言葉はほぼ耳に入ってきておらず。 コンドームを装着するのに手惑っていると知らない俺はまた焦らされているのかと思い込んだ。 だから目を閉じて、さっきも言った言葉を繰り返した。 「早…く、甲斐クンの、おちん●、くださ…っ」 「え、永四郎…」 「大きいの、欲しいよ……ん、ッぁああっ」 ぐ、と宛がわれた熱いものが突然押し入ってきた。欲しいと言いながらも急なことに対処しきれず、情け無い声が漏れてしまう。 根元まで挿入されたと思ったら、ずるっと引き抜かれてまた奥まで来て、それを繰り返された。 最初からこんな風にされることもそうない。俺がいつもは抑えるから。 甲斐クンに両脚の膝裏を押さえつけられている所為でまともに力も入らないところを、ずぶずぶと出入りされる。 「あ、ふ…ッん、あっ、ああ、か、いクン、すご、いッ…ひ、ぃ…っしんじゃ、う、あぁッんっ」 「えろすぎんだけど、ほんと…」 「ら、め、そんなに、した、らっ」 「なに?こんなに、したら?」 握って扱くだけの雑な動きだけど、今の俺を追い上げるには充分だった。出ると思ったけれど甲斐クンの手は止まった。腰を打ち付けられるのは止まらないのに。 「え…っや、…っ?甲斐くん、…っ離し、て…ッ嫌、…だ…っ…」 「イけるじゃん、こっちで」 「それ、嫌、…いや、かいく、んっ」 射精出来ないまま中を擦られ続けて、涙が溢れる。限界まできている快楽がずっと続いて苦しい。 「あぁ、あっくるし…っひ、っイキ、たい…ぃ…っ」 「イっていいってば」 甲斐クンはやめてくれない。 がくがくと揺さぶられるまま――達した。 でも射精した訳じゃないから、イってる感覚みたいなものが続いている。 「今、イったな…。凄い、永四郎、後ろ泡立ってきた」 「もう嫌だ、甲斐くん…っ」 「ははっ、嫌って?」 もうとっくに手元に寄越した資料も無いのに、わざとだ。 「あッ、あ、ひっ、はや、く…ッ」 「俺もイキそ…っは、永四郎…」 脈打った性器が中に温かい液体を注いで、感触が広がる。 甲斐クンがイったところを久しぶりに見た。 俺はまだ、根元を戒められているけれど。 「ね…手、離して…っ」 「ヒクヒクしてんの、かわい…も一回しよっか、永四郎…」 「待っ、なんで、…ッ」 抽挿を緩く始められて、後孔からはしたなく液が溢れ出てくる。 なのに射精出来ないまま俺は鳴かされ続けた。 「永四郎があまりにも熱演するから俺のリクエスト通りにしてくれてると思って…」 鈍痛に苦しみながらも腹部に一発くれてやると甲斐クンは言い訳がましくそう言った。 腹が立ったので無視する。 誰が二度とあんなことに協力するか、と忌々しく漫画本を睨んだ。 「でも、いつもよりちょっとハードなだけだったよな!」 「それは君だけでしょうが!」 2012.3.30 木手に無茶振りして殴られる甲斐でした。 ライトな甲斐木手も勿論可愛いですね! こうやって時々遊んでしまえばいいですね。まさに飼い主と犬。 少しでもお気に召して頂ければ幸いです。 有難う御座いました!! リクエスト:ドエロな甲斐木手 |