やたらとテクニシャンな 甘酸っぱいイチゴソースの絡んだ生クリームを口に入れる。じんわり溶けていく味に、顔が綻ぶ。甘い。 パフェはやっぱり美味い、と思いながら前に座るジローさんを見る。 ジローさんはダルそうにシャープペンを動かして宿題中。 俺が見てもさっぱり分からない問題だった。力になれそうもない。少し寂しくなりながらアイスの部分を掬って口元に寄せると、ジローさんは俺を見て笑い口を開けた。 ぱく、と銜えられるスプーン。ジローさんはいちいち漫画みたいで面白い。 「おいC〜!」 「疲れてますね、ジローさん」 「んー、宿題も多いし、勉強増えてきちゃったんだよね…裕太と遊びたいよ〜」 「遊んでるじゃないですか」 「ファミレスで宿題は遊んでるって言わない」 ふう、と溜息を吐いた口は閉じられて、シャープペンがまたのろのろと活動し始める。ジローさんは集中すると作業は早いけど、気が散ってしまうまでの時間も早くてなかなか終わらない。それを跡部さん辺りなら散漫だと怒るんだろう。 パフェの器が空になった。 ジローさんの手首に目がいく。氷帝の人によると、あの手首は特別で天性のものなんだそうだ。俺じゃ返せない球を作り出すんだよなあ、なんて思い出す。 上達したし、今なら勝てるかな。暫く一緒にテニスをしていないから、どれくらいの差かももう分からない。 「終わった!」 ジローさんが紙の束を見せてくる。確かに空欄もないみたいだし、宿題は終わったようだ。 「待たせてごめんね」 「いえ。有意義な時間でした」 「俺の手見てたけど」 「うっ」 「どっちかな〜?」 悪戯をする前の子供のような目の輝きを見せるジローさんに、俺は思わず口元を抑える。バレてたなんて恥ずかしい。だいたい、どっちってなんだ?何がどっちなんだ? 思案していると、ジローさんは決めたと呟いた。 「たぶん裕太が考えてたのはテニスのことだけど、そっちじゃない方にしよう」 「な、ん…ですか?」 「えっちなことして遊ぼ」 「はあ!?」 「あ。そういうの遊ぶって言わないのか。ごめんごめん」 「そ、そうじゃないですよ!」 「会計行こ、裕太」 手を掴まれて立たされる。ああ、また手ばかり見てしまうし。 裏っ返して叫んだ俺への答えなんかない。ジローさんはさっさと俺の分までまとめて支払ってしまった。 突っ込みたいところはいろいろあるけど、しどろもどろな状態では後へ着いて行くしかなかった。 電車を乗り継いで来たのはジローさんの家。 お店の方に一緒に顔を出すとお兄さんが居て心音が跳ね上がった。 ジローさんの家族は何人か見て挨拶したことはあるものの、お兄さんには何か知られている気がして落ち着かない。俺とジローさんのことは誰にも話していないけど、俺の家よりジローさんの家で――その、スることが多い所為でもあると思う(その時結構な確率でお兄さんが居る)。 「あの…」 「ん?」 リュックを下ろして見上げてくるジローさんが、何故だかとても可愛く見えた。言いにくい。 やめましょうと一言口にすれば何もせずに終わるかもしれないのに。 本当は少しだけ、期待しているのかもしれない。 俺が黙っているとジローさんは少し笑ってチェストの中を探り始めた。 出てきたのはローション。中身は6分目くらいか。 それを見て熱くなった。今度こそ耳まで真っ赤になっているに違いない。 俺の側に来たジローさんは頬、耳、首筋と撫でてくる。背筋に何かが走って、息が詰まる。 「今日は手だけ。ダメ?」 「ダメじゃないです…」 恥ずかしいけど、ええい!と勢いで抱き着いた。そうしたらジローさんも抱きしめ返してきて、その反動で二人してベッドに倒れ込んだ。 ジローさんの香りしかないこの部屋も、何度来たことか。 金色のふわふわした髪を撫でていると四つん這いで俺の上に居るジローさんが甘えるように目を閉じ左手に頬擦りをして瞳だけがこちらを向いた。 悪い顔してる。欲情した顔。 唇を親指で辿ればすぐに唇が合わされて口内を舐められる。鼻で息をしながらそうしていると、自然と声が出てきて。気持ち良くて離れる唇が惜しいと思うくらいに。 「裕太の睫毛って長いよね」 「ちょ、…見ないで下さい」 「え〜?睫毛見るのもダメなの?もっと恥ずかしいとこも見てるのに〜」 目の前で翳された手がひらひらと揺れる。軽く曲げられた指がいやらしい動きをした気がして目を背けた。 「そんな裕太が好きだけどね」 ちゅ、と額で唇が音を立てた。 薄く目を開くとするすると手が胸元を撫でて降りていくところだった。嫌でも触られる期待感が高まってしまう。 血液が集中したそこが熱くて、もう硬くなり始めているだろう。ジローさんはまるで労わるように柔らかく揉んで、布の上から扱いてくる。 「あ…っはぁ…」 身体が小さく痙攣するみたいに動いて。気持ちいい、もっと、と言いそうになる。 少しの間そうされて、服を脱いで肌を露出した後もジローさんは手を休めないから、俺も触ろうと思ったら止められた。 「俺は後でいいの」 「ん……って…、俺、もう、…っ」 濡れた音がし始めた先端から透明な液体が漏れてきていて、このまま引っ切り無しに扱かれたら出てしまう。 動きはそのままに、ジローさんは俺にローションを渡してきた。 意図を聞くように顔を見ると、片方の空いた手を出してきたから、そこに震える手でローションを落とした。とろとろ、ホットケーキに掛けられるメイプルシロップみたい。 「あ、は、ぅ…っじろ、さ…っ」 「裕太、足開ける?」 そろそろと腿を開く。濡れたジローさんの手がタマから後ろにかけてを往復しだした。俺のものを扱いていた手もローションを撫で付けるように動き出している。 「あっふぁっつ、めた…っ」 「ごめんね…」 「ん…っ慣れる、から」 「裕太のえっち」 「…ッ」 「嘘うそ、エロいのは俺だった。…入るよ〜」 ジローさんの指がぬめりと一緒に入ってくる。 違和感を我慢していると、次第に温まってきたローションも気持ち良く感じてきて、ぬるぬるする度にビクついた。 「二本目…」 「じ、ジローさんっ」 「んー?」 「ほ、本当に、やばい、です」 二本目が入った圧迫感より、前の反り返ったものが刺激に負けそうで。 「目に涙溜まってる…可愛いなあ裕太。キスしちゃお」 「ん、ッ!」 荒い息が飲まれるみたいな激しいキスに、シーツから手を離してジローさんに縋りたくなったけど、指がぐちゅぐちゅと音を大きくして無理だった。 唇を解放されてからも俺は息を落ち着かせる間も無く喘がされる。ジローさんは目を細めて唾液まみれの自分の唇を舐めていた。 「うあぁっあ、んっい、イっちゃ…出ちゃ、う、っ…やだっや、っじろぉさ、ん、あ…っ」 「はぁ、裕太、イって…前も、触る?」 「やだっ」 中が掻き回されて、弱い所を強く擦られて、ローションが酷い音を出して。 腿が痙攣して、足の指先に力が入る。 「イく、ぅ…っんっ…ッん…ッ」 ジローさんの片手が握る前にちょっと触れただけで白く濁った液体が飛び出した。 懸命に吐き出しつくすみたいに勢いをつけて出たそれは俺の腹の上に散る。 ゆっくり指を抜いて、俺の頭を撫でようとしたけど、ローションまみれの手の平に気付いて笑った。 「へへ、撫で撫で出来ないや」 「汚しちゃって、ごめんなさい…」 「謝ることないよー。気持ち良かった?裕太」 「…は、はい」 しかし見てみればジローさんは当然まだだった。俺だけでは嫌だから、ジローさんの腿に手を滑らせていく。 「俺も、していいですよね…?」 「うん、勿論。裕太の手首は俺のコレに愛されてるよね」 「…何言ってるんですか」 「裕太に擦られると気持ち良くてさ〜、…顔、真っ赤だよ」 「やめて下さいよ!」 エロい雰囲気壊されると余計に恥ずかしいのに! 恥ずかしさから泣きそうな声が出てしまった俺にジローさんは慈しむようなキスを繰り返した。 2012.3.30 裕太が可愛くて持て余す愛情をどう表現すれば…!と悩んだ挙げ句に甘いジロ裕になりました。 裕太受の中でもかなり好きなカプなのですが、なかなか書けていなかったのでリクを頂けて嬉しいです。 少しでもお気に召して頂ければ幸いです。 有難う御座いました!! リクエスト:裕太受け |